今回は、お住まいの塗り替えの屋根塗装・外壁塗装における「セラミック塗装」及び「セラミック塗料」について解説していきます。
最近は、セラミック系やらセラミック配合塗料など、あらゆるところで塗装に「セラミック」という名前が使われ始め、結局 どのセラミック塗料に、どんな特徴があって、それがどう違うのか、正直分からないですよね。
今回は、そういった疑問を解決できる記事にしています。
✓ この記事の対象者
- セラミック塗装がどういった塗装か知りたい
- セラミック塗装は、何年持つかを知りたい
- セラミック塗装には、どんな種類があるか知りたい
- セラミック塗装のデメリットを知りたい
本記事を読むと、上記の悩みや疑問が解決するだけでなく、数あるセラミック塗料の種類や特徴が分かり、ご自宅の塗り替えに最適な塗料を選ぶことが出来るようになります。
この記事は、塗装業界20年以上の私自身が、過去の実績と経験に基づき執筆しています。
詳しくは、プロフィールをお読みください。
そもそも、外壁塗装に使われるセラミック塗装ってなに?

まずは、そもそも外壁塗装に使われるセラミック塗装ってなに?について。
外壁用の塗料で使用されているセラミックとは、「二酸化ケイ素」のことです。
「シリカ」「SiO2」などと、表記されたりもしますね。
わかりやすくいうと、石や砂、陶磁器などを粉々にした無機化合物のことです。
それらを塗料の中に混ぜ込んで、色々な特殊効果を作り出している塗料のことを、一般的に「セラミック塗料」と呼んでいます。
外壁塗装に使われるセラミック塗料の種類について

見積もりを取ったら、「セラミック系」やら「〇〇セラ」など書いてあるけど、何が良いのか悪いのか…。
といった経験をされている方も多いのではないでしょうか。
なのでまずは、セラミック塗料の「 種類 」について解説していきます。
✓ セラミック塗料の種類は、大きく分けて「2種類」
- 装飾系 セラミック塗装
砂や砕いた天然石などを、塗料と一緒に吹き付けるタイプ
仕上がりはザラザラ - 配合型 セラミック塗装
セラミックを微粒子状にして、塗料に配合して塗るタイプ
仕上がりはツルツル
次項で、この2種類の特徴や違いなどについて詳しく解説していきます。
ココが、セラミック塗料を理解する為の 最重要ポイント になりますので、しっかりついてきてくださいね。
最近よく耳にする「ガイナ塗装」は、「配合型セラミック塗装」に分類されますので、そちらを確認ください。
「装飾系セラミック塗装」とは

ますは、細かく砕いた砂や天然石などを塗料と一緒に吹き付ける「装飾系セラミック塗装」から説明していきます。
✓ 「装飾系セラミック塗装」の画像がこちら
※引用先:山本窯業株式会社HP
パッと見た感じ、塗装には見えませんよね(笑)
こちらはその名の通り、デザインが特徴的である為に、通称「装飾系」セラミック塗装と呼ばれているわけですね。
ちなみに「砂や細かく砕いた天然石」=「セラミック」ということですね。
その他にも、御影石調だったり大理石調だったり、どれも非常に重量感のある豪華な風合いに仕上げることが出来ます。
✓ 「装飾系セラミック塗料」の代表的な大手塗料メーカーはこちら
こういった一流塗料メーカーから販売されている塗料であれば、まず安心です。
多少割高にはなりますけど、モノは間違いないです。
「装飾系セラミック塗装」に適している方
装飾系セラミック塗装の特徴は、やはりその「美観・デザイン」ですね。
ですから
- ご近所とは違う外観にしたい
- 家を豪華な仕上がりにしたい
- イメージチェンジしたい
- 自慢したい
など、ご近所のお住まいと差別化を図りたい方にはおすすめな塗料ですね。
仕上がりはホントすごくカッコいいですよ♪
「装飾系セラミック塗装」のデメリット
次に、装飾系セラミック塗装のデメリットについて。
残念ながら、装飾系セラミック塗装にも、やはりデメリットはあるんですね。
✓ 「装飾系セラミック塗装」2つのデメリット
- 施工単価(塗装代)が高い
- 塗装表面が硬い
1.施工単価(塗装代)が高い
下の図を見てもらうと分かる通り、装飾系セラミック塗装のデメリットは「施工単価(塗装代)が高い」です。
標準塗装 | 装飾系セラミック塗装 | |
平米単価(円/㎡) | 1,500~5,000円程/㎡ | 3,500~18,000円程/㎡ |
塗り回数(工程数) | 3~4工程 | 5~17工程 |
装飾系セラミック塗装が高額になる理由は、工程数(塗り重ね回数)が多くなる為です。
装飾系セラミック塗装は、豪華な石調の風合いを演出する為に、さまざまな配色のセラミックを何層にも吹き付けていく塗装工事なんですね。
その為、装飾系セラミック塗装の工程数は、「少なくとも5工程から、最大17工程」になることもあります。
もちろん工程数が多い程、豪華な仕上がりにはなりますが、その分工事費用も跳ね上がっちゃいます。ちなみに、一般塗装の標準工程数は「3工程」です。3回塗りってことですね。
2.塗装表面が硬い
装飾系セラミック塗装の2つ目のデメリットは、「塗装表面が硬い」です。
セラミックとは、先に書いた様にお茶碗を粉々に砕いたような細かい骨材です。
それを塗料(糊)と一緒に外壁に吹き付けて、ガチガチに固めていくわけですから、仕上がった塗装の表面はどうしても硬くなります。
ですので、コーキング(シーリング材)で目地切りがしてあるサイディングなどの外壁材には、装飾系セラミック塗装はあまり適していないように思います。
理由としては、コーキングは本来動くように出来ているので、硬い装飾系セラミック塗装は、その動きに追従できず、割れてしまうこともあるからです。
「装飾系セラミック塗装」の耐久年数について
では最後に、「装飾系セラミック塗装は、何年ぐらい持つ塗装なのか」について解説していきます。
装飾系セラミック塗料の耐久年数は、「最後に塗り上げる仕上げ塗料(クリア塗装)で、ほぼ決まる」と考えてください。
✓ 塗料の種類(樹脂)による耐久年数表
塗料の種類「樹脂」 | 耐久年数(目安) |
アクリル塗料 | 5~7年 |
ウレタン塗料 | 7~10年 |
シリコン塗料 | 10~14年 |
フッ素 塗料 | 14~18年 |
セラミック自体は、お茶碗みたいに半永久的なんですが、セラミックを外壁に接着させる為の糊(塗料)は年数と共に劣化します。
ですから、装飾系セラミック塗装は、仕上げ塗装として最後にクリア塗装(コーティング)を塗り上げて、その耐久性を維持させています。
当然ながらクリア塗装(コーティング)が劣化すれば、徐々に接着していた糊も劣化し、さらにはセラミック自体もボロボロと砂のように剥がれ落ちてきます。
よって、装飾系セラミック塗装は、定期的にクリア塗装(コーティング)の塗り直しが必要になります。
『なるだけ長く持たせたい!』という方は、最後の仕上げクリア塗装のグレードを上げて塗装することをお勧めします。
「配合型セラミック塗装」とは

次は、「配合型セラミック塗装」について解説していきます。
配合型セラミック塗装とは、セラミック自体を目に見えないほど細かくして、塗料に配合した塗装となります。
ですから、装飾系セラミック塗装とは違い、見た目は一般の塗装となんら変わりありません。
しかし、配合された特殊セラミックにより、塗料自体にさまざまな性能を付加することが可能で、昨今外壁塗装業界でも非常に注目されている塗装の一つとなります。
✓ 配合型セラミック塗料の効果
- 親水性(雨垂れが付きにくい)
- 低汚染(汚れが付きにくい)
- 断 熱(熱を遮断する)
- 遮 熱(熱を反射する)
- 耐久性(長持ち)
代表的なところでいえば、「ガイナ塗装」や、「無機塗装」「光触媒塗装」なども、「配合型セラミック塗装」の分類ですね。
その他、遮熱・断熱塗料、ハイブリット塗料、ガラスファイバー塗装、ガラスコーティングなどのネーミングで販売している塗料も、配合型セラミック塗装の一種です。
「配合型セラミック塗装」に適している方
「配合型セラミック塗装」の特徴は、先に書いた様にその多機能性です。
ですから、「外壁に特殊な機能を追加したい方」に適している塗料です。
選び方は、
- 外壁にどのような効果を付与したいかを選ぶ
- その効果を持った塗料の中から決めていく
です。残念ながら、全ての効果・性能を兼ね備えた「スペシャル塗料」などはありませんので、付与したい効果・性能を一つに絞り込み、それに特化した塗料を選ぶことになります。
いちいちすべての配合型セラミック塗装の塗料商品を調べるのも面倒でしょうから、大手メーカーや有名どころの塗料商品をまとめて載せておきます。
この辺りの塗料であれば、まず間違いないでしょう。
✓ 配合型セラミック塗装「効果・性能別」おすすめ塗料一覧
- 「遮熱塗料」配合型セラミック塗装
(熱を遮断してくれる塗料)
塗料メーカー | 塗料商品名 |
日本ペイント | サーモアイ シリーズ |
SK化研 | クールタイト シリーズ |
日本特殊塗料 | パラサーモ シリーズ |
KFケミカル | セミフロン 遮熱シリーズ |
- 「断熱塗料」配合型セラミック塗装
(熱を反射してくれる塗料)
塗料メーカー | 塗料商品名 |
日進産業 | ガイナ |
- 「低汚染性」配合型セラミック塗装
(汚れが付きにくい塗料)
塗料メーカー | 塗料商品名 |
日本ペイント | ファイン4Fセラミック |
ピアレックス・テクノロジー | ピュアコート(光触媒) |
- 「高耐候性」配合型セラミック塗装
(非常に長く持つ塗料)
塗料メーカー | 塗料商品名 |
KFケミカル | ワールドセラ シリーズ |
日本ペイント | アプラウドシェラスター |
「配合型セラミック塗装」のデメリット
では次に、「配合型のセラミック塗装」のデメリットを見ていきましょう。
✓ 「配合型セラミック塗装」3つのデメリット
- 塗料の歴史が浅い
- そもそもデメリットが明確になっていない
- 種類がありすぎて、塗料選定が難しい
1.塗料の歴史が浅い
「配合型セラミック塗装」の一つ目のデメリットはその歴史の浅さです。
配合型セラミック塗装は、古いものでもここ15~20年ぐらいでしょうか。
ですから、100年以上の歴史をもつ塗料業界の中では、まだまだ新人扱いというわけです。
その為、最近出回っている配合型セラミック塗装は、実績結果から立証された性能ではなく、あくまでも「塗料メーカー独自の仮想シミュレーション試験結果から導き出された性能」となるわけですね。
まぁ、実績がないのでやむ負えないです。
2.そもそもデメリットが明確になっていない
これは配合型セラミック塗装の「歴史が浅い」に連動するデメリットですね。
これも新しいが故に、やむ負えないことです。
製造した塗料メーカーですら、明確なデメリットを把握できていないこともあるわけですから。
デメリットを調べるときは、その塗料名(商品名)+デメリットで検索かけるのが良いと思います。
3.種類がありすぎて、塗料選定が難しい
このデメリットも、塗装初心者の方にはハードルが上がります。
最近、セラミックと名の付く塗料が出回りすぎているんですよね。
ただでさえ分かりずらい塗装なのに、更にわかりずらくなっています。
そう考えると、「配合型セラミック塗装」は、初心者の方には少し難易度高めの選択になるかもしれません。
知識が無いとギャンブル性が強い。
『それでも配合型セラミック塗装に挑戦してみたい』という方は、こちらの記事もあわせて読むことをおすすめします。
「配合型セラミック塗料」の耐久年数について
では、最後に「配合型セラミック塗装の耐久年数」について簡潔に説明していきます。
結論からいうと、耐久年数は「塗料の樹脂により違う」です。
これまで説明してきたように、「配合型セラミック塗料」というのは、一般の塗料に微粒子状のセラミックを配合して、特殊性能を付与した塗料です。
ですから、配合する前の塗料のグレード(樹脂)が何なのかで、どのくらい持つかが変わってきます。
✓ 塗料の種類(樹脂)による耐久年数表
塗料の種類「樹脂」 | 耐久年数(目安) |
アクリル塗料 | 5~7年 |
ウレタン塗料 | 7~10年 |
シリコン塗料 | 10~14年 |
フッ素 塗料 | 14~18年 |
ですから、気になる塗料があれば、まずはその配合型セラミック塗装が「何の樹脂で構成されているのか」を、塗装業者や塗料メーカーに、必ず問い合わせて調べて下さい。
【参考資料】
✓ 日進産業の「ガイナ」の成分構成表
- 特殊セラミック:60%
- アクリルシリコン樹脂:20%
- 水:20%
大手塗料メーカーの場合、問い合わせすると「塗料の成分表」を教えてくれる場合があります。
ただ、マイナーな塗料メーカーや自社オリジナル塗料などと謳っている会社は、ほとんど公表することがありません。
「配合型セラミック塗装」を選ぶなら、最低でも塗料のグレード(成分表)が把握できる塗料にしておいた方が無難です。
外壁塗装で使用するセラミック塗装のまとめ

今回は、「外壁塗装に使用するセラミック塗装」について解説してきましたが、参考になったでしょうか。
いまいち分からなかったという方は、何度も繰り返し読んでみてください。
必ずセラミック塗装が分かるようになります。
最後に、「セラミック塗装」をまとめておきますね。
✓ 「セラミック塗装」の分類
装飾系セラミック | 配合型セラミック | |
目 的 | 美観デザイン重視 |
機能・効果付与 |
仕上がり | 石彫風仕上げ 高級感 |
ほぼノーマル |
機 能 | 特になし |
その塗料商品による |
デメリット |
|
|
耐久年数 |
仕上げのクリア塗装次第 |
その塗料製品による |
「配合型セラミック塗装」の方が塗料の商品も多く、非常に複雑です。
その理由は、塗料メーカー各社が競うように、今までにない新しい機能を持った塗料を開発しているからです。
逆に言えば、住宅塗料は今、より便利でより優れたものへ進化している革新時代に入っているということですね。
そういった時代だからこそ、塗料の選定を業者任せにするのではなく、あなた自身で理解し、納得したものを使用することが大切になります。
✓ 塗料に関するその他の記事もありますので、気になるものがあれば読んでみて下さい。
外壁・屋根塗装工事がうまくいくように、切に願います。
大切なお住まいを、より大切に。
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