外壁塗装の手抜き工事は、一昔前と比べればずいぶんとその数は少なくなってきたように思います。
理由としては、ネットなどによる情報社会になったこと、それと消費者保護法や特定商取引法などの、消費者を守る法律が定められた為でしょう。
しかし、そうはいってもまだまだ手抜き工事をする塗装業者はいるんですよね。
そこで今回は、手抜き工事をする塗装業者は、いったいどんな事情で、どんな動機や心理でそれらをやっているのか?
そこから手抜き業者の共通点を見出して、事前に回避する為の注意点を最後にまとめていきます。
今回の内容は、完全に塗装業界の裏話。少しでも多くの方に手抜き工事についての実態を知って頂くと同時に、外壁塗装工事のなにかしらのヒントに繋がればと思います。
そもそも外壁塗装の手抜き工事は誰の指示でやってる?

まず初めにお伝えしたいのが、手抜き工事をする塗装業者の9割以上は、会社ぐるみでやっているということです。
職人の腕が悪いから、質が悪いから手抜きをする、とかではありません。現場で作業している塗装職人は、会社からの指示で「やむを得ず手抜きする」といった感じです。
よくよく考えたれば分かると思うんですが、雇われの身である職人自体に、手抜きするメリットって何一つないんですよね。
その会社に恨みがあるとかなら話は別ですけど(笑)
だから、塗装業者を決めるときには、見積もり金額も大事ですけど、その会社の姿勢や考え方、取り組みなどがすごく大事になるんですね。
塗装業者の見極め方については、別の記事『信頼できる外壁塗装業者を見分ける方法・見極める力』で詳しく解説してますので、気になる方はそちらを参考にしてみて下さい。
外壁塗装で業者が手抜き工事をする理由はなに?
で、なんで塗装業者は手抜き工事をするのか?

塗料を薄めたり、塗る回数を減らして儲ける為でしょ?
…と、普通考えますよね?
でも、実はそうじゃないんです。
塗装業者が手抜きをする一番の理由、それは【工期】なんです。
工期というのは、その現場を仕上げる為に何日かかるか?という、工事期間のことですね。

なんで【工期】が手抜きに関係してくるの?
その答えを知るためには、まず外壁塗装の見積書のカラクリを理解する必要があります。ここから業界の裏話です。
外壁塗装業者の見積金額の仕組みや工事費用のカラクリ
手元に見積書があれば確認してみてほしいんですけど、見積書に『㎡単価、〇〇円』とかって書いてありますよね?
これらの『㎡数』や『㎡単価』って、あくまでもお客さん用の表向きの見積もり明細。
ホントは『㎡単価』なんてものは決まってないし、業者によりバラバラなんです。
じゃぁどうやって決めてるの?っていうと、「手間代」+「塗料代」+「利益」です。
上の画像でいうと、青色に囲った「569,520円」がそれにあたります。
そしてそれを外壁面積(上の図では203.4㎡)で割って、そこから1㎡あたりの単価を割り出してるだけなんです。見積書に書いてある『㎡単価』は、だいたいそうやって決めているんですね。
詳しく知りたい方は、別記事『』で解説していますので、そちらへ飛んでみて下さい。
外壁塗装で手抜き工事をする動機は『手間代』

前項で見積もり費用のカラクリを説明しましたが、ここからがようやく本題の「なぜ【工期】が手抜きに関係してくるのか?」の話です。
さきほど出てきた『手間代』ありますよね?
じつはこの『手間代』が、【工期】と非常に密接な関係にあるのです。
というのも、手間代は塗料代や利益と違い、工事日数によって変動する経費なんです。
例えば、現場を7日間で終わらせる予定の場合、毎日3人の職人(日当:15,000円として)が作業に入ると仮定して、7日間×3人×15,000円で、315,000円の手間代が必要となるんですよ。それをさきほど説明した要領で見積書を作る。
しかし、いざ工事に入ってみたら、予定していた7日間で終わらない!となったりするわけです。
そうすると、工事が一日延びるたびに15,000円×3人分、計45,000円の手間代が余計にかかってくるんですね。
言い換えれば、その分どんどん利益が減っていっちゃうわけです。
で、どうするか。
なんでもいいから早く終わらせろ!となるわけです。
これが手抜き工事をする塗装業者の典型的なパターンです。
ですから、手抜き工事をする動機のほとんどは『手間代を減らす為』なんですね。
塗料を薄めて塗料代を浮かせる手抜き業者って本当にいるの?
「決めていた塗料とは違う塗料で塗る」手抜き業者は確かに存在します。
でも、塗料代を浮かして儲けよう!といった目的で塗料を薄める業者はあまりいないんですよね。
じゃあなんで塗料を薄めるのか?
そこも前項で解説した『工期』が関係しています。
✓ 塗料を薄める手抜き工事をするきっかけ
- 塗料がちょっと足りないな…
- 追加で塗料頼まなくちゃいけないけど、今から頼めば届くまでに2日かかる…
- 次の現場の兼ね合いもあるし、これ以上経費(手間代)掛けたら利益がなくなるぞ…
- やむを得ない、今ある塗料でごまかして終わらせてしまえ!
といった感じです。
このケースは、必要な塗料数を読み間違えたことに起因する手抜きパターン。
見積もりの際に適当に面積を測ったりすると、こんな手抜きにも繋がったりするいい例です。
あとよくあるのが、3回塗ると言ってたのに2回しか塗らなかった、とかっていう手抜き工事トラブル。
あれも考え方はまったく同じで、工期を短縮してなんとか手間代を減らしたい(利益を確保したい)から、1工程ごまかすっていう発想ですね。
こういった手抜きは、私自身が長年住宅塗装の現場管理をしてきたからこそ知り得る、リアルな手抜き工事の一例です。
まとめ:【業界裏話】なぜ外壁塗装業者は手抜き工事をする?その理由に意外な共通点が!

で、これらのことを踏まえた上で、
- 何に注意したら良いのか?
- どんなことに気を付ければ良いのか?
ですが、以下に手抜きする塗装業者の共通点をまとめてみましたので、参考にして下さい。
✓ 外壁塗装で手抜き工事をする塗装業者の共通点
- みるからに見積書が適当
- 家の状態も見ずに見積もりを作る
- しっかりとした工事(見積書)の説明がない
- 見積もり価格が極端に安い
- 小さな約束(日時など)が守れない
- 自社都合のことばかり言ってくる
- 理由を付けて工事時期を急がせる
もうお分かりかと思いますが、外壁塗装工事は安ければ良いってものではありません。
安いには安いなりの理由があるからです。
外壁塗装工事で失敗したくなければ、会社の姿勢や取り組み、そして見積もり内容にも目を向けて、じっくり検討しましょう♪
それと、最近「一括無料見積サイト」が手間が掛からず便利だということで、多くの方が利用されていますが、これも安い塗装業者を探す目的というより、良い塗装業者と出会う目的で利用すると効果的だと思いますよ。
一括見積もりサイトについては、こちらで詳しく解説しています。
見積もりをする前に注意点するべき点は、こちらです。
ダメな塗装業者の見分け方は、こちら。
以上、今回は「なぜ外壁塗装業者は手抜き工事をするのか?」についての解説でした。
良い外壁塗装業者と出会えることを心より願っています。