正直、外壁塗装の色選びは悩みますよねー。
「やっぱり優しい淡めの色がいいのかな」とか「ガラッとイメチェンで濃いめの色に変えてみようかな」とか。一方で、「本当にこの色でおしゃれになるのかな?」「失敗したらイヤだな」って不安になってみたり。
そんな悩みの尽きない外壁塗装の色選びですが、今回は過去500棟以上のお住まいの色をアドバイスしてきた私が、失敗しない色の選び方やコツ、そしてここだけは押さえておいたほうが良いといったポイントや注意点などを分かりやすく紹介していきます。
本記事は多少長文となりますが、これ一本で外壁塗装の色選びは完結するといっていいぐらいの情報量をまとめていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
外壁塗装の色選びでよくある失敗事例
外壁塗装の色の選び方を紹介する前に、「こういった色の決め方をすると失敗しますよ」という失敗事例をいくつか紹介しておきます。
これから紹介する失敗事例は、もしかしたらあなたも体験するかもしれないトラブルでもあり、それらを事前に知っておくことで失敗するリスクを最小限に抑える効果のある有益な情報でもあります。
失敗事例① カラーサンプル(色見本)を使って色を選んだ
まずは最初の失敗事例は、「カラーサンプルから好みの色を選ぶ」パターンです。
✅色選びで失敗するのはだいたいこのパターンです。
なぜこんなことが起こるのかというと、カラーサンプルで見るのと実際の仕上がりとでは色の見え方がまるっきり違うためです。
外壁の色は、太陽光(光源)の加減や外壁材の質感、周辺の色によっても見え方が変わります。
例えば、最近新築で黒系のシックな色合いが流行っていますよね。あれは塗料のツヤを調整してマット仕上げで塗装されてることが多いんです。でも素人の方はそんなことには気付きませんよね。
ですから、知らずに普通の塗料で塗ると「あれ、なんか安っぽくなったな。もしかして違う色を塗られたんじゃないか?」と、塗装業者を疑ってしまったりするわけなんです。色トラブルの大半はこれが原因です。
失敗事例② 外壁塗装業者に配色を相談した
続いては、「色について業者に相談すると失敗する」という話です。
色にそこまでこだわりがなければ問題ありませんが、そうでなければ要注意です。なぜなら、塗装業者は塗装のプロであって色のプロではないからです。
「これまでたくさんの家を塗装してきてるんだからそのぐらい分かるでしょ?」と思われるかもしれませんが、多くの塗装業者は毎回同じような色ばかり(淡いベージュ系・うすグレー系・ホワイト系)塗っているので、正直それ以外の色に関する知識はあまり持っていません。
それに、塗装業者はあまり使ったことのない色についてはトラブルを避けるためにあまり口を出さないのが基本スタンスなので、専門家としてのアドバイスは期待できないのです。
失敗事例③ カラーシミュレーションで色を選んだ
続いては、「カラーシミュレーションで色を決めると失敗する」という事例です。
カラーシミュレーションは、あなたのお住まいの画像をPCに取り込んで、外壁や屋根にさまざまな色をつけて試すことができる超便利なソフトです。
最近では多くの塗装業者がこのカラーシミュレーションソフトを導入していますが、じつはここに落とし穴があります。
というのも、カラーシミュレーションソフトはディスプレイ画面の色やプリンターのインクの色、用紙の色によってかなり色味が変わってくるので、画像で確認した(印刷した)色と実際の色では、まったく違う色になることが多いのです。
ですから、カラーシミュレーションは実際の色を決めるためではなく、全体的なイメージや配色バランスなどを確認するために利用しましょう。
※無料で簡易カラーシミュレーションが利用できるサイトはこちらで紹介しています。
失敗事例④ 家族に相談せず一人で色を決めた
外壁塗装は一度塗ったら最低でも10年間はその色と付き合うことになります。そして家族みんなが毎日目にするわけですから、やはり家族全員の了承を得た上で色を決めることがとても大切です。
それに、色というのは人により見え方も感じ方も違いますので、なるべくたくさんの人に確認してもらった方が間違いが起こりにくくなります。
家族のためにと思いおこなった外壁塗装工事が、家族間の亀裂が生じる原因となっては意味がありませんので、ちゃんとみんなで話し合って色を決めるようにしましょう。
そもそもなぜ外壁塗装の色選びで失敗する人がこんなに多いのか?
さて、前項ではよくある色選びの失敗事例を4つ紹介してきましたが、しかしなぜこんなにも色選びで失敗する人が多いのでしょうか。
どうやらそこには人間の色識別能力が大きく関係しているようなんです。
私は目の専門家ではないので詳しいことは分かりませんが、人間の視覚っていうのは思っている以上にいい加減なんですよね。それがよく分かるのがこちらのだまし絵です。
出典:https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1911317
この画像のAとBが同じ色なんて信じられますか?
出典:https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1911317
これは、脳が勝手に周りの色とのバランスを考えてあなたが認識しやすいように調整してくれるために起こる現象らしいです。つまり色の錯覚(さっかく)です。
あとこんなだまし絵もあります。
真ん中にあるグレーのバーは、左から右にいくほど濃くなっているように見えますが、これ実は一色しか使われていないんですよ。ビックリですよね(笑)
こういったことが外壁塗装の色選びでも日常的に起こっているんですね。だから色のトラブルや失敗は後を立たないのです。
外壁塗装の色選びを3ステップで分かりやすく解説
さて、ここまで長々と色選びの失敗事例やなぜ失敗する人が多いのか?といった理由について解説してきましたが、ここからが本記事のメイン「では、どのようにして色選びをおこなえば失敗を避けられるのか?」について解説していきます。
色選びの手順を3つのステップに分けて解説していますので、ぜひ実践してみてください。
ステップ1 まずは理想のお住まいを3棟ピックアップ
まず最初に、あなたが理想とする雰囲気の家を見つけることです。ここでは具体的な色というより、パッとみて「なんかいい感じの雰囲気だな」「こんなお住まいにしたいな」という感覚で選んで大丈夫です。
探し方は、周辺地域のお住まいを見てまわったりネット検索(家)してみると良いでしょう。そしてその中から、まずは3棟ほどターゲットになるお住まいをピックアップしてみてください。
ステップ2 ピックアップしたお住まいの細かい配色をチェック
次に、ピックアップしたお住まいの細かい配色をチェックしていきます。先ほど説明したように、人間の目はいい加減なのです。
ですから、「なぜその家は良い雰囲気なのか?」を分析して、「自宅にその色を塗ったらどうなるか?」を予測してみるのです。
✅チェック項目は以下6つです。
① 屋根の色と素材
まずは屋根の色と素材からチェックしてみましょう。屋根の素材や色も全体の雰囲気に少なからず影響してきます。ピックアップしたお住まいと自宅の屋根の色や素材に相違ないか?仮に同じ外壁色にしてもバランスは保てるか?違和感はないか?などを確認していきます。
② 窓枠サッシの色
続いてチェックする項目はサッシの窓枠の色です。もしあなたが、外壁に濃い色を塗ろうと考えているのであれば、窓枠(サッシ)の色のチェックは必須項目です。
自宅のサッシの枠色がホワイトなら濃い色でも家全体が明るくおしゃれに見えますが、窓枠がブロンズやブラックなど濃い色であれば、家全体が思いのほか暗いイメージになってしまいます。
ピックアップしたお住まいと自宅のサッシ枠の色に違いがないか?確認しましょう。※サッシ枠はアルミで出来ているため、塗装で色を変えることはできません。
③ 塗装に艶(ツヤ)があるかないか
次は、外壁表面の艶(ツヤ)をチェックしてみましょう。
冒頭でも説明したように、塗装のツヤがあるかないかで家の雰囲気はガラリと変わります。ツヤ有りは光を反射するので多少白っぽく見えます。一方でツヤ消しは、濃いめの色でも落ち着いた雰囲気に仕上がります。※特殊な塗装で外壁の柄を変えることもできます。
④ 外壁の柄や素材
今度は、外壁の柄(がら)や素材のチェックです。
一見「おしゃれな色のお住まいだなぁ」と感じるお住まいの外壁は、結構な確率でタイル柄やレンガ調のサイディングだったりします。遠目で見ると単色(一色)のように見えますが、近付いてみると何色もの色が重なり合ってそのような風合いを演出していることが多いのです。
そのような柄で作り上げられた外壁であれば、塗装工事で再現するのは難しいのです。
⑤ 外壁の中央に帯(幕板)の有無
続いてのチェック項目は、外壁の帯(幕板)です。これは、外壁を2トーンで仕上げたいと考えている方向けの必須チェック事項です。
自宅の外壁中央に帯(幕板)があるかどうかを確認してみてください。もし帯がないのであれば2トーンはおすすめしません。帯がないと二色の境目のラインがきれいに引けないので、どうしても見栄えが悪くなるのです。
⑥ 雨樋の色
雨樋の色も必ず確認しておきましょう。
先ほど紹介したサッシ枠の色が白いお住まいなどは、この雨樋も白色で統一されていることが多いですね。外壁にどんな色を塗装しても家全体が明るく見える魔法の色ですね。
しかし、サッシ枠がブラウンやブラックで造られたお住まいの場合、雨樋だけを白にするとかえって見栄えが悪くなることもあるので注意しましょう。※雨樋は塗装で色を変えることが可能です。
以上6項目を確認しながら、ピックアップしたお住まいの配色を真似ても違和感なく仕上がるか?をチェックしていくのです。
もしも、「やっぱりうちにはこの色味は合わないかも」と感じるようなら、もう一度ステップ1、2に戻り、あなたの家に合う理想的な配色のお住まいを探しましょう。
ステップ3 板見本(A4サイズの大きいカラーサンプル)で色を選んでみる
「このお住まいの雰囲気にしたい」というターゲットが決まったら、今度は実際にそのお住まいに近い色を探していきます。
色の探し方は以下の手順を参考に進めてください。
- 手順1まずはじめに、カラーサンプルから3色選ぶ
一つ目はあなたが近いと思う色を。二つ目はその色より薄い色を。三つ目はその色より薄く、少しくすんだ色の3色を選びましょう。
≫カラーサンプル(日塗工 2021年度最新版 色見本帳) - 手順2選んだ3色の板見本を取り寄せる
色を決める際には、必ずA4サイズの板見本を利用しましょう。小さなカラーサンプルでは失敗します。板見本は業者によってお金がかかる(一枚1,500円程度)場合もありますが、成功させるためにもそこはケチらずに支払いましょう。
- 手順3板見本が届いたら外で見比べてみる
板見本が届いたら外に出て、その3枚の板見本を外壁に立てかけ少し離れた位置から見比べます。その色が全体に行き渡るとどんな感じになるかをイメージしてください。きっと「少し濃いかな?」とか、「こっちの色がイメージに近いな?」といった感覚が掴めてくるはずです。
あと、天候(晴れ・曇り・雨)や、時間帯(朝・昼・夕方)を変えて確認することも大切です。それだけで色の見え方が変わります。 - 手順4塗装業者にもターゲットとしている家のイメージに近い色かどうかを聞いてみる
最後は塗装業者にも一応色の確認をします。
「どちらの色が良いと思いますか?」ではなく、「どちらの色がよりターゲットの家に近付きますか?」といった感じで訊いてみると良いでしょう。塗装業者の答えが必ずしも正解というわけではありませんが、一つの参考にはなるはずです。
色決めの最大のポイントは、いかに実際の塗装するシチュエーションに近付けて考えるかです。
以上が、私が提案する最もリスクの少ない外壁塗装の色選び方法になります。
まとめ:外壁塗装の色選びの教科書。色の選び方を3ステップで分かりやすく解説
ということで、今回は外壁塗装の色選びについて長々と説明してきましたがいかがでしたか。
最後に、色選びで大事なポイントをもう一度振り返りましょう。
✅外壁塗装の色選びの注意点
- 人間の視覚は意外といい加減
- 小さなカラーサンプルから色を選ぶと失敗する
- 塗装業者に色の相談をしても期待出来ない
- 最終的な色決めにカラーシミュレーションを利用してはいけない
- 家族全員と相談をして色を選ぶ
✅外壁塗装の失敗しない色の選び方の手順
- いいなと思う家(ターゲット)を3棟見つける
- 自宅との配色の違いなどを分析して1棟に絞る
- 実際に色を選んでいく(見つけていく)
・カラーサンプルなどからターゲットに近い色、それより薄い色、それよりくすんだ色の3色をピックアップ
・選んだ3色の板見本(A4サイズ)を取り寄せ、外で確認
・家族と業者にもその色で間違いないか確認をしてみる
「新築の時のように蘇らせたい」「今度はこんな雰囲気のお住まいにしたい」など、自身が思い描いた理想のお住まいを想像しながら考えていくのが外壁塗装の醍醐味ですよね。
本記事があなたの理想とするお住まいへと近付くきっかけになれば幸いです。
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