屋根はいつ頃塗装すればいいんだろう。なんか目安とかあったりするのかねぇ。
最近よく塗装屋さんから声もかかるし、もうそろそろうちも塗装の時期なのかしら。
普段はなかなか目にすることがない屋根。今現在どういった状態なのかとても分かりづらいですよね。
でも、屋根は雨風から家を守ってくれる最も重要な部位なので、より適切な時期に塗り替えることがとても重要になってくるんです。
ということで今回は、
といった内容でお届けしていきます。
屋根の塗り替え時期は築10年目では遅い?
屋根の塗り替え時期は、一般的に築10年目が目安といわれています。
ただ、私はこれまで築10年目の屋根を数多く見てきましたが、瓦の種類によってはすでに塗装時期を過ぎてしまっているケースも多いです。
本来、屋根の塗装は素材(屋根瓦)を保護コーティングする役割がありますので、ベストな塗り替えタイミングというのは「瓦が傷んでしまう前」となります。
そう考えると、意外にも築10年では遅過ぎるケースも多いのです。
屋根瓦の素材によって最適な塗装時期は変わる
屋根の最適な塗装時期は、瓦の種類(素材)によって変わると考えておきましょう。
✔︎ 瓦の種類別の屋根の塗り替え推奨時期
- コロニアル瓦 … 約7〜10年
- セメント瓦 … 約10〜15年
- モニエル瓦 … 約10〜15年
- トタン(板金)… 約7〜10年
- ガルバリウム鋼板 … 約15〜20年
※陶器瓦・粘土瓦は塗装不要 ※モニエル瓦(乾式コンクリート瓦) ※トタン:金属屋根
瓦の種類によって塗り替えの推奨時期が異なる理由は、出荷時の瓦表面の塗装方法や、瓦本体の耐久性(厚みなど)の違いによるものです。
住んでいる地域や周辺環境によっても屋根の塗装時期は変わる
屋根の塗装時期は住んでいる地域によっても大きく変わります。
例えば、沖縄や九州地方では関東や東北・北海道に比べ「紫外線が強い」という報告結果が出ています。※気象庁「全国の月別紫外線分析データ」
塗料を劣化させる最大の原因は「紫外線」ですから、地域によって屋根の劣化スピードに大きな差が生じるということですね。
あと、お住まいの周辺環境によっても屋根の塗装時期は変わります。
例えば、海の近くに建てたお住まいであれば潮風(塩害)によるサビ劣化、雪が積もる地域であれば瓦の凍結による破損・ヒビ割れなどが発生し、先ほどの年数よりも早い段階での塗り直しが必要となるでしょう。
屋根瓦の塗装時期を過ぎるとどうなる?
ところで、仮に屋根の塗装時期を過ぎても何もせずに、そのまま放置していたらどうなるのか?
屋根瓦の塗装時期を過ぎて劣化が進行すると、瓦本体の修理や交換が必要となる可能性も出てきます。
- 第1段階瓦の塗装が劣化
【症状】屋根瓦の色褪せ・汚れ・コケ
- 第2段階瓦が劣化
【症状】屋根瓦のソリ・ヒビ割れ・サビ
- 第3段階瓦の下のルーフィング(防水シート)が劣化
【症状】屋根瓦の破損・雨漏り
第3段階まで放置してしまうと、これはもう塗装工事どころの話ではなくなります。仮に、屋根瓦の全面葺き替え工事となれば、少なくとも100〜200万ほどはかかります。
ですから、適切なタイミングで、定期的に屋根を塗り替えることはとても重要であり、結果的に瓦の寿命を延ばし、将来的なメンテナンスコストを削減することにも繋がってきます。
屋根の塗装時期を適切に判断するためのプロのアドバイス
では、ここから先は「ご自宅のより正確な屋根の塗装時期を把握する方法」を解説していきます。
どーみてもうちはまだ綺麗だけど…
みんな本当に7年とかで塗装してるの?
ちょっと大袈裟に言っているだけじゃない?
と、先程の塗装時期の説明を聞いても「なんか腑に落ちないなぁ…」と感じている方はぜひ読んでみてください♪
屋根瓦の状態から最適な塗装時期を判断するのがベスト
まず、一番間違いのない屋根の塗装時期を知るためには、やっぱり屋根の状態をみるのが一番です。
ただ、かといって安易に塗装屋さんに診てもらうと、いつの間にか塗装をする方向に話が進んでいたなんてのもイヤですし、あとからしつこく営業されてもイヤですよね?
こっちはただ単に塗装時期を知りたかっただけなのに、と。
わかります(笑)
であれば、自分自身で瓦の状態をチェックして塗装時期を判断したらいいんですよ。大丈夫です、初心者でも簡単に自己診断チェックできる方法がありますので!
屋根瓦の劣化具合を自己診断するための具体的な手順
では、屋根瓦の劣化具合を自己診断するための具体的な手順をお伝えしていきます。
◎用意するもの(デジカメ・双眼鏡)
まず、屋根の状態を確認するために必要なものがこちらです。
※下屋根(1階の屋根)があるタイプのお住まいならデジカメ(スマホ)だけでもOK。
◎屋根瓦の素材(種類)を確認
次に、屋根瓦の種類(素材)も確認しておきましょう。屋根瓦の素材確認は、「建築確認申請書(設計図書)」の「屋根の素材」項目で確認することができます。
✅建築確認申請書の画像
建築確認申請書(設計図書)がない方は、下の画像から同じタイプの瓦を探しましょう。
- 薄型スレート瓦(カラーベスト・コロニアル・アーバニー)
【特徴】瓦の厚みが1㎝以下で、瓦表面がザラザラしている - セメント瓦(和風・洋風)
【特徴】瓦の厚みは1〜2㎝で、瓦の小口がツルツルしている
- 乾式コンクリート瓦(モニエル・スカンジア・パラマウント)
【特徴】瓦の厚みは1〜2㎝で、瓦の小口が凸凹している - 金属屋根(ガルバリウム鋼板・トタン)
【特徴】瓦の厚みが1㎝以下で、瓦表面がツルツルしている
※ガルバリウム鋼板の屋根は2011年ごろから一般住宅の新築でも広く使われ始めています。
◎屋根の状態をチェックする場所と方法
続いて、屋根の状態をチェックする方法と確認する場所について。
■確認方法は以下2パターン。
- 下屋根があるタイプのお住まいの場合
2階の屋根もしくは2階ベランダから1階の屋根をデジカメで撮影し、あとから確認する。 - 下屋根がないタイプのお住まいの場合
外に出て遠目から双眼鏡で確認、デジカメでズーム撮影しておく。
なお、確認する場所は屋根の北側と南側の2面です。これは、南側と北側で現れる症状が違うためです。正確な屋根の状態を把握するためにも南側と北側の2面確認が重要となります。
屋根瓦の劣化段階によってあらわれる症状(サイン)
では、本題の屋根瓦の劣化段階によってあらわれる症状(サイン)を解説していきます。
屋根の劣化状況を「レベル1・レベル2・レベル3」の3段階に分けていますので、先ほどの要領でデジカメで撮影した画像を見ながら確認してください。
劣化レベル1の症状(塗り替え検討時期)
屋根瓦が劣化し始めた初期段階では、以下のような症状が出ます。
- 屋根瓦の色あせ・変色
- 屋根瓦の藻・コケ・カビの付着
- トタン(板金屋根)のサビ発生
これらの症状は、「そろそろ屋根塗装を検討し始めてもいい時期」という目安です。
✔︎ 瓦の変色・色あせ
✔︎ 藻・コケ・カビの付着
✔︎ トタン(折半)のサビ
屋根瓦の表面塗装(塗装の膜)が劣化して、防水力(水を弾く力)が低下することで色褪せ・コケ・サビなどの症状が起こり始めます。
この段階で屋根塗装をしておけば、瓦本体の劣化を最小限に食い止めておくことができ、お住いを長くきれいな状態で保たせることができるでしょう。
注意事項
繰り返しますが、絶対に屋根には登らないようにしてくださいね!
劣化レベル2の症状(塗り替え時期)
劣化レベル1を放置しておくと、次は屋根瓦の本体に症状が出始めます。
下記症状が出始めたら「屋根塗装をする時期にきている」という目安です。
✔︎ 瓦のひび割れ
✔︎ 瓦の反り・浮き
✔︎ 塗膜の剥がれ
写真を見てもらうと分かるように、瓦自体が劣化していますので、屋根を塗装する前に「瓦の補修」や「下地調整」「部分的な瓦の交換」などの補修工事が必要になる可能性もあります。
劣化レベル3の症状(手遅れ)
屋根の劣化レベル3症状は、雨漏りです。残念ながら雨漏りしているとなると、時すでに遅し状態です。
劣化レベル2の症状を放置し続ければ、いずれ雨漏りが起こります。当然ながら、雨漏りは塗装では直せません。
- 「屋根の雨漏り箇所」を特定し、
- 「雨漏れを止める修理」をして、
- 「屋根裏の躯体や室内の天井・壁紙などの補修」をしてからようやく
- 「屋根塗装工事」ができます。
築10〜15年程度で劣化による雨漏りが発生する可能性は極めて低いですが、油断は禁物です。部屋の中にポタポタと雨漏りしていなかったにしても、2階の押し入れや天井に雨漏りの形跡がないかもチェックしておきましょう。
屋根は一度劣化し始めると、驚くほど早いスピードで劣化する!
屋根は、外壁と違い太陽光線(紫外線)を四六時中あたっている場所にあるため、一度劣化し始めると驚くほど早いスピードで劣化していきます。
「まだうちは大丈夫だなぁ」なんて悠長に構えていたら、いつの間にか瓦にヒビが入りまくっていた、なんてホントよくある話です。
ですから、「少し痛みが出始めてきたな」と感じたら半年に一度はチェックするようにして、塗り替えのタイミングを逃さないようにしてください。
飛び込み業者(訪問販売業者)が説明する塗装時期には注意!
飛び込み業者(訪問販売業者)がいう「塗装しないとヤバいですよ!」は基本的に無視してOKです。こういった時に、先ほど説明した自己診断方法が有効となります。
じつは、お客さんが塗装時期に不安を感じる要因の一つが「訪問販売業者の声かけ」です。毎日のように違う塗装業者がやたらめったら「塗装した方が良いですよ」と煽ってくるんですねー。
飛び込み訪販の塗装業者のやり口はどれもほぼ同じで、
- 大げさに家の痛みを指摘する
- 塗装しないと「とんでもないことになる」と不安を煽る
- 不安に感じたお客さんはその業者の話に耳を傾けるようになる
- 「今なら間に合う」と安心させる
- 改めて塗装の必要性を説いて、契約まで強引に持ち込む
余談ですが、これ訪販業界用語で「善意の恐怖心」といって、思いっきり不安を煽っておいて「たまたま自分が気付いたから良かったものの、もしそのまま放置してたら大変なことになってましたよ」という、いかにも自分のおかげ的な善人ぶったストーリートーク(営業手法)なのです。
もちろんこうした悪質な塗装業者が指摘する塗装時期なんてデタラメばかりです。ただ、お客さんは仮にその塗装業者に工事を頼まなかったにしてもやっぱり不安になってしまうんですね。
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まとめ:屋根の最適な塗装時期について
さて、今回は屋根の塗装時期についてかなり深く掘り下げてきましたがいかがだったでしょうか。
今回は、屋根の塗装時期の目安や、塗装時期をすぎると屋根はどうなってしまうのか。そして、瓦の種類や地域・環境によっても屋根の塗装時期は変わること、さらには自分自身で塗装時期を見極める方法などを解説してきました。
本記事を読んでいただいて、「自宅の屋根もそろそろ塗装時期に入ってきているのかもしれない」と感じるようであれば、今度は実際に塗装業者に見積もりを依頼してみて、さらに専門的に屋根の状態をチェックしてもらうと良いですよ。
相見積もりの取り方については以下記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
あと、どこに見積もり依頼すれば良いかと悩まれている方はこちらの記事もどうぞ。
見積もりは取ってみたいけど、頼まなかった場合に塗装業者さんに断りの連絡を入れるのが気が重いって方はこちらの一括見積もりを利用してみてください。業者さんへの断りも代行してくれるので、ノーストレスで相見積もりが取れますよ。
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