今回は、外壁塗装工事に向いている季節について紹介していこうと思います。
実際にはどの季節でも問題なく塗装工事ができるのですが、それでも四季折々メリット・デメリットというのが存在します。
季節選びで大事なのはメリットよりもデメリット、つまりいかにリスクの少ない季節を選ぶかということになります。季節の影響で工事の不具合やトラブルが起こりにくい季節を選ぶということですね。
本記事では、業界歴20年の私が考える外壁塗装におすすめの季節や、春夏秋冬それぞれの季節のメリット・デメリットを塗装業界の裏側も加味した上でご紹介していきます。
外壁塗装工事をするなら秋(9月・10月・11月)がおすすめ
もうかれこれ20年以上この塗装業界で仕事をしていますが、もし私が自宅の外壁塗装工事を行うなら間違いなく「秋」です。塗装業界の事情を知っている人間ならほとんどの方が「秋」というのではないでしょうか。
✔︎ 秋がおすすめな4つの理由
- 秋は気候が安定して作業効率も上がる
- 秋は乾燥時期なので塗装に向いている
- 秋は涼しく職人も作業しやすい
- 秋はゆとりを持って仕事に取り組める
秋のメリット① 気候が安定して作業効率も上がる
まず一つ目の理由は、秋は気候が安定している点です。
気候が安定していると、
などのメリットがあります。
例えば、「前の現場が長引いて予定通りに着工できない」だとか「突然雨が降り出して塗装が硬化不良を起こした」などのトラブルが比較的起こりにくい季節なんですね。
秋のメリット② 乾燥時期なので塗装に向いている
二つ目の理由は、秋は乾燥時期だからです。
秋から冬にかけて空気が乾燥しはじめて唇や肌がかさついたりしますよね。でもこの乾燥は外壁塗装工事にはもってこいなんです。空気が乾燥していると塗装の乾きも良く、作業性も上がり、塗料の硬化不良などの不具合も起きにくくなります。
秋のメリット③ 涼しく職人も作業しやすい
三つ目の理由は、秋は涼しいからです。
涼しいとなにが良いかというと、
などのメリットがあります。
「どんな季節でもキッチリ工事するのがプロだろ」なんて突っ込みが入りそうですが、そうはいっても職人も人間です。
特に塗装工事は細かい作業の連続で、忍耐力と集中力がかなり必要とされる職人仕事ですから、身体に負担なく作業できる秋は間違いなくプラス要因なんですね。
それに、工事中は「養生」といって、塗料が飛び散らないように窓をビニールで覆い隠す作業がありますので、数日間窓が開けられない状態が続きます。
クーラーがある部屋は良いですけど、ない部屋は夏場は「暑くて寝れない」なんて話をお客さんからよく聞きますので、そういった意味でも涼しい秋は外壁塗装工事に向いているかなと思います。
秋のメリット④ ゆとりを持って仕事に取り組める
四つ目の理由は、秋はゆとりを持って仕事に取り組めるからです。
外壁塗装で人気の季節といえば春と秋ですが、秋は春ほど忙しくありません。
なぜ一番忙しい春より秋の方が良いかというと、
などが挙げられます。
繁忙期の春は、黙っていても現場が入り続ける時期で、正直どの塗装業者も猫の手も借りたいほどに忙しくしています。しかも途中でGWを挟んだり、梅雨前までに仕上げないといけないなどの制限がかかったりするのでバタバタなのです。※春のデメリット詳細は記事後半で解説しています。
その点、秋はそういった制限もなくゆとりを持って現場にのぞめるわけですね。
秋に外壁塗装工事をする唯一のデメリットは台風
さて、ここまで「秋に外壁塗装をおすすめする理由」をお伝えしましたが、そんな秋にもやっぱりデメリットは存在するんですね。
秋の唯一のデメリットは「台風」です。
台風がくるとさすがにその期間は工事できませんから、どうしても工事は長引きます。あと、台風の影響で工事中の他現場が予定通り終わらずに「希望していた日に着工できない」なんてこともよくあります。
ただし、そんな台風にも良い点があって
といった感じです。
梅雨時期のようにいつ雨が止むのか予測不可能なわけでもありませんし、夏場のように突然大量の雨が降り出すなんてこともありませんので、塗装業者にとって台風は比較的やりやすい天災とも言えます。
あと、気象庁発表の台風情報によると、10月・11月に台風が上陸することはほとんど無いようで、9月でも平均1件程度なので、そこまで神経質になる必要もないのかもしれませんね。
画像引用:気象庁「あおぞら彩時記 2022年 第5号」より
上の図は、気象庁発表の過去30年間の台風発生状況。グレーの棒グラフが上陸した平均回数。
強風(台風)で足場が倒れたりしない?
台風が来ると「強風で足場が倒れたりしないか」と心配される方も一定数いますが、まず普通の足場なら倒れる心配はありません。
それに、台風が来ると分かった時点で足場の補強や飛散防止ネットをたたむなどの強風対策をしますので特に心配はいらないでしょう。
外壁塗装の季節ごとのメリット・デメリット
では、その他の季節に外壁塗装工事を行う場合のメリット・デメリットについても触れておきます。
冒頭でもお伝えしたように、外壁塗装は工事が出来ない季節はなく、一年中工事が可能です。ただ、それぞれに異なるデメリットがありますので、その辺りを重点的に掘り下げて解説していきます。
春(3月・4月・5月)
春はなんといっても気候が良いので、塗装業界の繁忙期と言われており、一番人気の高い季節です。外壁塗装は天候に左右される仕事ですから、春の安定した気候は最適といえますね。
それに、春はやる気スイッチの素であるドーパミンの分泌が活性化されるからなのか、重い腰を上げて塗装工事に踏み切るお客さんが多い気がします。
ただ、そんな春にもデメリットがあります。以下は、塗装業界の繁忙期実情を知っているからこそ気付けるデメリットです。
春に外壁塗装をするデメリット
先述したように、春は塗装業者にとって一年で一番忙しい繁忙期。言い換えれば一番の儲け時とも言えるんですね。しかし、これが逆に仇となる可能性もあるんです。
✅繁忙期の塗装業者の心理
- 早く工事を終わらせて、数をこなしたい
- ヘルプ(職人の貸し借り)を多用してでもたくさんの現場をまわしたい
これらがどのような悪影響をもたらすかというと、
なんてことが起こる可能性があります。これは大袈裟でもなんでもなく「塗装業界の繁忙期あるある裏話」です。
春に外壁塗装をする場合のプロからのアドバイス
1番怖いのは、工事の品質よりスピードを優先してしまうことです。繁忙期はどの業者も少なからずそうなる傾向があります。これは気候によって起こる不具合以上にリスクが高いんです。
もし春に外壁塗装工事をやるなら、3月初〜中旬あたりがおすすめです。年明けから塗装屋さん探しを始めて予約しておきましょう。
梅雨時期(6月・7月ごろ)
次は、梅雨時期の外壁塗装工事について。
「梅雨時期になんて塗装できるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、梅雨時期でも外壁塗装工事は可能です。むしろ近年塗料は進化し続けており、雨の日でも塗れる下地塗料なども開発されているぐらいです。※関西ペイント「アレスダイナミックフィラー」
しかも梅雨時期はどの塗装屋も閑散期(仕事が少ない時期)なので、多少の金額値引きにも応じてくれる可能性がありますね。
梅雨時期のデメリット
梅雨時期の最大のデメリットは、
です。
梅雨時期というのは困ったことに天候がまったく読めません。その影響で、着工予定日が大きくずれ込んだり、着工してもなかなか工事が終わらなかったりします。特に工事中は養生で太陽光も遮られますので、昼夜問わず電気をつけて過ごす日が何日も続き、気が滅入るお客さんも多いようです。
せめていつぐらいに工事が終わるのかっていう出口が見えればまだ良いんですが、こればかりはどうしようもないものです。
あと、塗料の性能が上がっているとはいえ、湿気は塗装の天敵であることには変わりありません。ですから、梅雨時期の塗装工事は業者の判断力や経験次第で大きく左右される季節といえるでしょう。
梅雨時期に外壁塗装をする場合のプロからのアドバイス
梅雨時期に外壁塗装工事を行うなら、工事期間が長引くことは覚悟しておきましょう。逆に「いつ終わるんだ!」と愚痴ばかりいっていると、塗装業者は品質を軽視して早く工事を終わらせようとし出す可能性もあるので注意しましょう!
※梅雨時期のより詳しいデメリットやリスク、注意点などは下記記事で解説しています。
夏場(8月)
夏は、日照時間が長いため作業する時間も多く、かつ気温も高いため塗料の乾きが早くなりますので、とても作業効率が良い季節といえます。
あと、夏場は職人もそこまでタイトなスケジュールではないので、希望した日に工事を始められることが多いでしょう。
夏場(8月)のデメリット
夏に外壁塗装工事を行うデメリットは
と、結構あります。
夏の暑さはしょうがないとして、問題は「屋根瓦の温度」と「夕立」の2つです。
塗装工事は、被塗装物が高温になりすぎると仕上がりに問題が生じます。ですから、屋根だけは朝方や夕方などの涼しい時間帯に塗装しなければいけません。
業界では常識レベルの話ですが、そこはちょっと心配な点です。夏に塗装工事するなら一応気に留めておいた方が良いでしょうね。
あとは夕立です。一瞬で天候が変わる夕立は一番厄介なものです。しかも、突然バケツの水をひっくり返したような雨が降るわけですから、施工上のトラブルはゼロではありません。ここも塗装職人の経験と判断力がモノをいう部分ですね。
夏場に外壁塗装をする場合のプロからのアドバイス
個人的に真夏の屋根塗装はおすすめしません。外壁は屋根と違いそこまで熱くならないので特に問題はないでしょう。あと、お盆前の工事は終わらない可能性も十分想定しておきましょう。お盆中に足場があってもいいよって方は気にしなくてOKです。
冬(12月・1月・2月)
冬の外壁塗装工事は、意外と知られていない穴場です。気温は低いんですが、空気が乾燥しているのでじつは塗装工事に向いている季節でもあるんですね。特に「1月」は狙い目です。(※北海道・北陸などの積雪地域は除く)
冬時期の塗装工事のメリットはこちら
冬は、地域によって気候や温度などの条件が大きく変わるので、一概にこうだと断定しにくい季節です。
冬(12月・1月・2月)のデメリット
冬に外壁塗装工事を行うデメリットは
などです。
当然ですが、雪が積もれば塗装工事はできません。しかも、気温が「5℃以上」あっても、屋根や外壁の塗装面が冷え切っていれば塗装できませんので、どうしても工事期間が長くなります。
あと、年末(12月)の工事は「家を綺麗にして新年を迎えたい」と考えている駆け込み客も多いため、下手すると正月期間中、ずっと足場がある中で過ごさないといけなくなる可能性もあります。※塗装工事は終わっているのに足場屋の解体作業が追いつかないパターンが多い。
冬に外壁塗装をする場合のプロからのアドバイス
冬の中でも、「2月」は全国的に一番冷え込む時期なので塗装にはあまり向かないでしょう。年末はビル・マンションなどの節税のための大型改修工事も多い時期です。年末ギリギリでの塗装工事はできる限り控えましょう。温かい地域(九州地方など)は年明け「1月」が狙い目です。
まとめ:外壁塗装に最適な季節はいつ?
さて、今回は「外壁塗装工事に適した季節」というテーマでお伝えしてきました。
✅各季節の適合具合を表にまとめるとこんな感じです。
季節 | 月 | おすすめ | 状 況 |
冬 | 1月 | △ | 温かい地域なら年明け一発目も◯ |
2月 | × | 冷え込みが激しくリスクあり | |
春 | 3月 | ◎ | 狙うは3月初旬 |
4月 | △ | 後半はGWでバタバタのため工事が雑になる恐れ | |
5月 | △ | 梅雨前までは超忙しいため工事が雑になる恐れ | |
夏 | 6月 | × | 梅雨時期はリスクもついてまわる |
7月 | △ | 梅雨明けすると一気に暑くなる | |
8月 | × | 8月の屋根塗装はリスクが大きい | |
秋 | 9月 | ◯ | 暑さも落ち着いた9月中旬あたりが◯ |
10月 | ◎ | 10月初旬〜の工事は一番おすすめ | |
11月 | ◯ | 雪が降っていなければ◯ | |
冬 | 12月 | △ | バタつく上に年末までに終わらない可能性大 |
どの季節にもそれなりにメリット・デメリットがありますので、なかなか難しいところではありますが、個人的には10月初旬〜(秋)と、3月初旬〜(春)の塗装工事がおすすめです。
■10月初旬〜(秋)と3月初旬〜(春)の共通点
10月初旬は気候も良く台風も落ち着いていますし、3月初旬はどの塗装業者も繁忙期前なのでバタついていないので良い季節だと思います。あとは、塗装工事をしてもらう常識ある業者を探して、前もって工事日程を予約しておくと良いでしょうね。
最後に、今回ご紹介した「外壁塗装工事の季節選び」はあくまでも工事リスクを減らす手段の一つでしかなく、それよりも屋根や外壁にどんな塗料を塗るのか?といった塗料の選定だったり、どこに頼むのか?という工事業者選びの方が重要になってきます。
ぜひ下記記事も参考にしてもらいつつ、より良い外壁塗装工事に繋げてください。必ずあなたの手助けをしてくれる役立つ内容になっています。
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