外壁塗装の塗料、いろいろありすぎて正直なにを選べばいいか分からないですよね。
いざ塗装しようと思い立っているお客さんですら、ほとんど塗料の知識を持っていません。
そして、まったく知識がない状態で何社か塗料の説明を聞き、更に迷宮入り。
なぜなら、どこの業者もオススメ塗料がバラバラだから。
で、結局塗料の話を聞いたところでサッパリだから、一番比較しやすい「価格」で決めてしまったり。
おそらく、そんな感じじゃないでしょうか。
でも、今時そんなのは塗装ぐらいじゃないかな、って思います。
例えば、車屋に行って『車が欲しいんだが、いくらだ?』と聞いてるようなものです。
そんなかっこいい人、今時いませんよね(笑)
車買うときは、ちゃんと「種類」や「性能」や「デザイン」など、ある程度下調べしてから買いに行きますよね。
だから塗装も同じことをしなきゃいけないんです。
面倒くさくても、どんなものがあるのかと、自分で頑張って下調べをしなくちゃいけないんです。
ちゃんと塗料にも「種類」や「性能」や「デザイン」がありますから。
ということで、今回は「塗料」をテーマに、どのサイトよりも解りやすく解説していきます。
↓こんな悩みを持たれている方が対象です。
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ステップ① どうやって選べばいいのか?まずは塗料の選び方を知ろう。

それではさっそく説明していきます。
まず、「塗料はどうやって選べばいいか」と悩んでいる方は、そもそも家を「どういう風にしたいのか」を決めてください。
要するに「用途・目的」ですね。
これがあって初めて「何を塗ればいいか」が見えてきます。
先程の車に例えるならば、『5人家族だし、キャンプもいきたい。だから大き目の車がいいな』とかです。
大家族なのに「良い車みたいだから」という理由だけで、旦那さんが2人乗りのオープンカー買ってきたら、さすがに発狂しますよね(笑)
家の塗装もそれと同じで、それぞれの家族で、用途や目的がまったく違うということです。
だから、ネットで書かれている「一般的には」とか「困ったときのオススメ塗料」などは、まったく参考になりません。
なぜなら、人ぞれぞれ用途・目的が違うからです。
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目的別に分類するとこんな感じです。
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こういう選び方が一番シンプルで分かりやすいんです。
逆に無数にある塗料名などから決めようとすると、何が良いか分からなくなります。
では、一つづつ解説してきますね。
ステップ② 目的別に塗料を選んで、その種類と内容を知ろう。

▼耐久年数から塗料を選ぶ
ここでのポイントはたった2つだけです。
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※以下で説明している「塗料の耐久年数表」は、すべての塗料共通ですので参考にどうぞ。
家の将来設計に合わせて、使用する塗料の種類を決める。
ここも先程と考え方は一緒ですね。
最初にまず考えるべきことは、
「今後どのくらいこの家に住んでいくか」です。
✅ この家をこれから何年ぐらい持たせたいか。 ✅ 将来、子供たちはこの家を継ぐのか。 ✅ 将来、売却予定などはないか。 |
そこから逆算して、
「であれば、何年持つ塗料にしよう」と決めていきます。
それが決まれば、次に塗料の選定です。
こちらが塗料別の耐久年数の早見表です。
どういった塗料でも、これが基本性能になります。
塗料の種類「樹脂」 | 耐久年数(目安) |
アクリル塗料 | 5~7年 |
ウレタン塗料 | 7~10年 |
シリコン塗料 | 10~14年 |
フッ素 塗料 | 14~18年 |
無機 塗料 | 15~20年 |
※塗料メーカーによっては、フッ素塗料が20年持つというところもありますが、実際は長く持ってこのぐらいと考えておきましょう。
塗料の種類は、大きく分けて上記5種類です。
塗料の耐久年数は、塗料の中に含まれる「樹脂」で決まります。
※「樹脂」について
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家(塗装)を15年持たせたいと思っていても、使用する塗料がアクリル塗料であれば、それは持つはずもありません。
その場合は、フッ素塗料や無機塗料を選ばないといけない訳です。
しかし、『アクリル塗料は5~7年しか持たないから良くない塗料』 ではありません。
例えば、数年ごとに色を変えるファーストフードや、新装開店で集客を促すレジャー施設などには最も適した塗料になります。
一方で、長く持つフッ素塗料などは、東京スカイツリーなどの公共事業でも多く使用されます。
人件費や足場等を考えたら、塗り替えの回数を極力減らした方が、断然コスパがいいんですよね。
結局、何年持つから「良い塗料」「悪い塗料」とかではなく、すべての塗料に、ちゃんとそれぞれの役割を持って造られている、ということです。
ですので、『うちは何年持たせたいから、この塗料を使おう』というように、使う塗料の性能をしっかり理解して、塗装工事をしていくことが非常に重要です。
費用対効果(コスパ)を知る。
耐久年数から塗料を選ぶ場合の、もう一つ大切なポイントは「費用対効果 」です。
「費用対効果」とは、「かけた費用に対して、どのくらい効果があるか」です。
最近よく耳にするコスパ(コストパフォーマンスの略)ですね。
✅ 「家を何年持たせたいか」が決まれば、コスパを確認しながら、予算に合う最適な塗料を選ぶ。 |
ちょっと参考までに軽く試算してみますね。
あ、でもあくまでもコスパを説明する為の試算ですから、クレームは受け付けませんよ(笑)
ちなみに、ここでのコスパは、年次コスト(一年間にかかる費用)で出してます。
もちろん安い方がコスパが良い、という感じです。
EX〉 外壁塗布面積150㎡の場合の費用対効果表(目安)
塗 料 | 耐久年数 | ㎡単価 | 壁塗装費 | その他費用 | 合計塗装代 | コスパ |
アクリル塗料 |
5~7年 |
1,970円 | 295,500円 | 450,000円 | 745,500円 | 106,500円 |
ウレタン塗料 | 7~10年 |
3,440円 |
516,000円 | 450,000円 | 966,000円 | 96,600円 |
シリコン塗料 | 10~14年 |
3,800円 |
570,000円 | 450,000円 | 1,020,000円 | 72,857円 |
フッ素塗料 | 14~18年 |
4,300円 |
645,000円 | 450,000円 | 1,095,000円 | 60,833円 |
無機 塗料 | 15~20年 |
4,740円 |
711,000円 | 450,000円 | 1,161,000円 | 58,050円 |
【備考】
・参考塗料及び㎡単価(300㎡以上)
日本ペイント設計単価表2018~2019年度版引用
・アクリル塗料:ニッペ リシンR
・ウレタン塗料:ファインウレタンU100
・シリコン塗料:ファインシリコンフレッシュ
・フッ素 塗料:ファイン4Fセラミック
・無機 塗料:アプラウドシェラスターNEO
・その他費用は、足場代や付帯部塗装費などの概算目安
知らない方も多いんですが、塗料の種類によるコスパは、実際ここまでの価格差が出ます。
アクリル塗料をひとつ例にとって、無機塗料と同じ20年を持たせる計算をしてみます。
すると…
(アクリル塗料のコスパ)106,500 × 20年 = 2,130,000円‼ |
単純計算で、無機塗料の「約1.8倍以上の費用」が掛かってしまう計算です。
こうして見ていくと、塗料の選定がいかに大事かが分かると思います。
単純に「1回分の塗装代が安いから」との理由で塗装を選んでしまうのは、リスクがありすぎます。
将来設計も踏まえ、予算と相談しながら、じっくり塗料を選んでいかないとホント大損します。
ちなみに、塗料はどれを選んでも見栄え(仕上がり)に違いは、ほぼありませんのでご安心を。
結局、この試算表からわかることは…
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▼デザインから塗料を選ぶ

さて、今度は「デザインから塗料を選ぶ」場合ですね。
ここでは、選ぶ上での注意点は特にありません。
基本、見た目の好き嫌いでOKです。
まずは、どういったデザイン塗料があるのか、種類を知りましょう。
それと、デザイン重視の塗料のそれぞれのデメリットなどもありますので、あわせて載せておきますね。
こちらがその種類分けです。
【デザイン重視型】
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セラミック塗料(石材調仕上げ)とは?
セラミック塗料は、現在いろいろな意味合いで幅広く使われていますが、今回は「デザイン型(石材調仕上げ)」に絞り、説明していきます。
【セラミック塗料の特徴】
セラミック塗料とは、砂や天然石、着色石などの鉱物を粉々にして壁に吹き付けるタイプの塗装です。
一般の塗料は単色ですが、セラミック塗料は様々な色の鉱物が集まってその風合いを出していきます。
ですので、見た目は石材調、大理石風でとても高級感があります。
よく、高級ホテルの玄関アプローチなどでも使用されていたりして、やっぱり雰囲気がいいですね。
【こんな方にオススメです】
- ご近所とは違う仕上げで差別化したい
- 豪華で上質な仕上がりにしたい
- 壁をツルツル・ピカピカにしたくない
- 高級感を出したい
- 和風のお住まいの方
【耐久年数について】
- セラミック塗装は、仕上げにクリヤー(透明な塗料)を塗るんですが、その塗料は何を使用するか、塗料の樹脂で耐久年数が変わります。
- 塗料のグレードは、先に説明した「塗料の耐久年数」を参考にして下さい。
【デメリット・注意点】
- 塗装の表面が凹凸の為、雨水がたまりやすく、通常より汚れやカビ、藻が出やすいです。
- 塗料の表面が硬い為、目地があるサイディングなどにはあまりお勧めしません。
- 普通の塗料より、かなり値段が高めです。
参考までに、セラミックで実績のある、主要塗料メーカー3社上げてみます。
塗 料 メーカー |
㎡単価 (目安) |
工程数 | 耐久年数 |
山本窯業株式会社 |
4,100円~14,500円 | 4~16回 | 仕上げ塗料による |
日本ペイント株式会社 |
4,200円~22,000円 | 5~18回 | 仕上げ塗料による |
エスケー化研 |
3,700円~12,750円 | 4~12回 | 仕上げ塗料による |
※各メーカー設計単価表(基準300㎡以上)より引用
※工程数が多い程、高級感あふれる仕上がりに変わり、それに伴い価格もかなり高くなります。
【個人的見解】
セラミック塗料を選ぶ際には、ケチって工程数の少ない安価タイプを選んでしまうと、正直大した仕上がりにはなりません。
デザイン重視でセラミック塗料を選ぶならば、ある程度の予算は覚悟しないといけません。
主要メーカー以外は、正直あまりお勧めしません。
あとは、必ず見本(実際の塗料を塗ったサンプルや板)を見て、どんな風に仕上がるのかを確認することをオススメします。
2色塗り分け工法とは?
【2色塗り分けの特徴】
こちらは塗料じゃなくて、工事の方法(塗り方)ですね。
でも、デザイン重視には外せない内容なので説明します。
普通、塗装してしまうと元々あった外壁の柄模様などは、同じ色で塗りつぶされるんですけど、この塗り方をすると、以前の風合いを損なうことなく塗装が出来ます。
とても高い技術力と経験が求められる、最近流行りの塗装工法です。
やはり通常塗装の仕上がりと比べるとその差歴然、見た目がまったく違いますね。
デザイン重視で考えている方なら、間違いなくおススメできる塗装工法です。
【こんな方にオススメです】
- タイル調・レンガ調の柄を潰したくない方(↓こんな感じのタイプです)
- 塗装で、他の家と差別化を図りたい方
【耐久年数について】
- 2色塗り分けは、塗料ではなく工法が変わるだけですので、通常の塗装の選び方同様に「何の塗料を使用するか」で耐久年数が変わります。
- 塗料のグレードは、先に説明した「塗料の耐久年数」を参考にして下さい。
【デメリット・注意点 】
- 高い技術力が伴うので、必ず「塗り分け専門の業者」に頼む必要があります。
- 技術料や工賃の違いですので、価格は正直業者次第なところがあります。
- 工事が出来る業者が限られているので、価格の比較が非常にしずらいです。
【個人的見解】
価格が不透明なところが気になるとこですけど、それでもしてみる価値は十二分にあると思います。
なにせ、見た目が断然良いですから。ホントおしゃれです。柄模様の壁ならおススメです。
ただ、業者の技術力に左右される工事ですから、多少のリスクはあります。
ですので、この塗装は「業者選びが一番重要」だと思います。
「業者選び」については、⇒こちらでも詳しく選定の仕方を解説していますので、参考にしてみて下さい。
クリヤー塗料とは?
【クリヤー塗装の特徴】
クリヤー塗料とは、その名の通り無色透明な塗料です。
解りやすく言うと、強力版「ニス」みたいなものです。
最近では、UVカットなどの機能も付いている高耐候塗料もあります。
※UVプロテクトクリヤーカタログ引用(日本ペイント株式会社)
【こんな方にオススメです】
クリヤー塗料を選ぶ方の多くは、「タイル調・レンガ調の柄模様を消したくない方」になります。
意匠性(柄模様)サイディングボード専用の塗料として多く使用されています。
要するに、普通の塗装を塗ると、すべて同じ色(単色)で塗りつぶれてしまうので、それをどうにか出来ないか、と考えて造られた塗料です。
経年変化で色が薄くなった壁も多少濃くなり、新築時のお住まいに戻った感じの仕上がりになります。
ちなみに、本物のタイルには基本的にクリヤー塗料は塗れませんのでご注意ください。
【デメリット・注意点】
クリヤー塗料を使用する上で、必ず注意しなくてはいけない点が1つだけあります。
それは、「外壁の劣化が進んでいるお住まいには適さない」ということです。
なぜなら、クリヤー塗装は無色透明なので「色あせもヒビ割れもそのまま出てしまう」からです。
確認方法はこちらです↓
【ステップ ①】
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【ステップ ②】
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せっかく塗ったのに、逆に色あせが目立ってしまった…なんてことが良くありますので。
ここはクリヤー塗料を使用する上で、一番重要なポイントとなるので、必ず確認してください。
【耐久年数について】
- クリヤー塗料は、通常の塗料と同じグレードとなります。
- 塗料のグレードについては、先に説明した「塗料の耐久年数」を参考にして下さい。
クリヤー塗料の有名どころの商品をピックアップしときます。
メーカー名 | 商品名 | 樹脂 | ㎡単価 |
日本ペイント | UVプロテクトクリヤー | シリコン、フッ素 | 3790円、4,260円 |
エスケー化研 | プレミアムUVクリヤーF | フッ素 | 3,900円 |
KFケミカル | セミフロンスーパー | 無機フッ素 | 3,700円 |
※塗料の吸い込み具合や下地により㎡単価は変わりますので、あくまでも目安としてお使いください。
※クリヤー塗料には下塗りがなく、上塗り2回のみとなりますので、価格は若干安くなる傾向があります。
【個人的見解】
クリヤー塗料は、大体どの塗料メーカーも出していて、品質はどこも横並びといったところです。
その中でも、KFケミカルは高級塗料専門メーカーで、創業65年。安価で品質が良くオススメです。
クリヤーはツヤ消しタイプもありますが、個人的には「ツヤあり」の方がきれいに仕上がると思います。
ツヤ消しを塗っても、あまり塗った感じがしないです。まぁ、あとは好みの問題ですね。
それと、繰り返しますが「築10年過ぎのお住まいには、クリヤー塗料は厳しい」と考えてください。
それでも塗りたい方は、業者に現状を確認してもらい、仕上がった状態の予測を判断してもってからの依頼をお勧めします。
あと、屋根はクリヤー塗料は塗れませんのでご注意を。
ツヤ消し塗料とは?
【ツヤ消し塗料の特徴】
ツヤ消し塗料といっても、実はそれ専用の塗料が単体で販売されている訳ではありません。
塗料を選んだあとに、その塗料の「ツヤ消しタイプ」を頼む、というイメージですね。
ですから、まず通常の塗料から選ばないといけません。
※選び方は本記事の目次「耐久年数から塗料を選ぶ」で説明しています。
【こんな方にオススメです】
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ヨーロッパ調テイストのお住まいや、和風のお住まいなんかにも多く使われてます。
「和風の家なのに、壁がピカピカだとちょっと安っぽく見える…」などの理由ですね。
たしかに…それはよくわかります(笑)
【注意点・デメリット】
- 種類は「7分ツヤ」「5分ツヤ」「3分ツヤ」「ツヤ消し」と色々ありますが、商品によっては出来ない塗料もあるので、事前に確認必須です。
- 「ツヤ消し」とはいえ、多少ツヤ感はあると考えてください。
- 多少汚れが付きやすくなるのと、ツヤありと比べるとどうしても耐久年数や防水性が劣ります。
【耐久年数】
- ツヤありタイプより1~2年程短くなると考えておいて下さい。
- 塗料の耐久年数のグレードについては、先に説明した「塗料の耐久年数」を参考にして下さい。
【個人的見解】
結局「何を重視するか」ですね。耐久年数を最重視するならおススメしません。
「美観、雰囲気を損ないたくない」であれば十分する価値あると思います。
ツヤありタイプに比べると多少劣化は早まりますので、予算に余裕があれば、フッ素塗料や無機塗料といった長く持つ塗料を選定する方が良いと思います。
▼特殊機能性から塗料を選ぶ

こちらは、塗料に「特殊効果のある素材」を配合させることで、「塗料に付加価値をつけた」塗料です。
最近よく耳にする、「ラジカル塗料」や「断熱塗料」、「光触媒塗料」なども、機能性塗料に分類されます。
これは機能性塗料全般にいえることですが、どれもそこまで歴史があるわけではありません。
ストレートにいえば、最近開発された新製品ということですね。
しかも、これまで紹介した塗料とは違い、すべての塗料のグレード(樹脂)が揃っているわけでもありません。
これはどういうことかというと、「ウレタン塗料の断熱塗料」などといった、希望に沿ったカスタマイズが出来ない場合が多い、ということです。
「この断熱塗料は、シリコン塗料のみ」などと、その塗料のグレードの選択肢が決められている場合が多いということです。
ですので、ホント塗料の比較がしにくく、塗料選定の難易度が非常に高い部類の塗料です。
でも、中には高性能な機能を持った塗料もありますので、これから説明する注意点やリスクを十分理解された上で選んでください。
機能別に塗料を分類すると、こんな感じです。
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一つづつ簡潔に説明していきます。
光触媒塗料とは?
【光触媒塗料の特徴】
光触媒塗料は、1997年ごろから水周りで有名なTOTOが開発を進め、2007年に外壁用に実用化された塗料です。
塗料の中に酸化チタンを混ぜ込み、光エネルギーによってセルフクリーニング効果を発揮する塗料です。
現在では様々な塗料メーカーが開発・販売しています。
こちらが光触媒塗料の性能です。
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今までにない、素晴らしい性能を持った塗料ですね。
【こんな方にオススメです】
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今までなら、「壁を白くすると汚れが目立つ」と悩まれていた方にも嬉しい塗料ですね。
【デメリット・注意点】
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光触媒塗料は、業者選定が難しく、デメリットも多く、難易度高めです。
【耐久年数】
塗料メーカーによっては「フッ素塗料を越えた」とか「20年以上の耐久年数」とかいいますが、正直なところ未知数です。
なにせ光触媒塗料が世に浸透し始めたのが、2007年あたりですから。
ですので、ベースになっている塗料の耐久年数を目安に、ぐらいで考えておきましょう。
こちらが光触媒塗料のよく聞く塗料メーカー一覧です。
塗料メーカー | 商品名 | ベース(樹脂) | 工事仕様 |
日本特殊塗料 | エヌティオ | フッ素塗料 | トップコート型 |
ピアレックス | ピュアコート | フッ素塗料 | トップコート型 |
オプティマス | ホワイトペイント | シリコン塗料 | 塗料配合型 |
※TOTO商品「光触媒ハイドロテクトコートシリーズ」は2017年6月に生産中止となっています。
この辺りの有名どころであれば、ひとまず安心です。
「塗料配合型」とは、通常の塗料の中に含ませて塗るタイプの塗料です。
「トップコート型」は、最後の仕上げに光触媒を塗り上げるタイプです。
光触媒塗料の設計単価(㎡単価)は、大体どこも4,500円~と高額です。
【個人的見解】
光触媒塗料は、機能性塗料の中でも革命的な塗料だと思います。
「塗料の常識を変えた」ってところです。
でも、まだまだ実績がないんですよね。
そこが唯一気になるところで、未だ自信をもって勧めることが出来ないところです。
ちなみに住宅塗料3大メーカー(日本ペイント・関西ペイント・SK化研)は、光触媒塗料の開発を見送っています。
あの光触媒塗料のパイオニアであるTOTOも、2017年から開発を止めました。
そう考えると光触媒塗料は、まだまだこれから進化していく塗料の位置づけなのかと感じます。
遮熱塗料・断熱塗料とは?
【遮熱塗料と断熱塗料の特徴】
その名の通り、温度を下げる効果が付いた塗料ですね。
「遮熱塗料」と「断熱塗料」の違いは、温度を下げる仕組みにあります。
わかりやすく書くとこんな感じです。
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塗料においての断熱・遮熱の「温度を下げる効果」の違いは、ほぼないと思ってもらって大丈夫です。
遮熱塗料や断熱塗料は、当初大きな工場や、学校の体育館、デパートの屋上などで使用され始めました。
室内の空間が広い工場や体育館などは、温度を1℃下げるのに、ものすごい量の電気代が必要となるんですね。
『それを何とかできないものか』…ということで登場したのが、断熱塗料・遮熱塗料です。
大きな工場の屋根や体育館の屋根は金属製が多く、鉄は熱が伝わりやすいので効果抜群だった訳です。
それを住宅用で応用できないかと開発されたのが、現在の遮熱・断熱塗料です。
【こんな方にオススメです】
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最近、「断熱塗料」は特に名前が知られてきました。
思うに、日進産業の断熱塗料「ガイナ」の登場からでしょうね。
「ガイナ」は、断熱効果だけにとどまらず、遮熱・保温・遮音・防音・防結露・空気室改善と、凄まじい多機能性塗料ということで一躍有名になりました。
ここまでくると、もう断熱塗料と呼んでいいのかどうか。
というより、塗装そのものの概念が変わりますね(笑)
【デメリット・注意点】
【共通】
【遮熱塗料】
【断熱塗料】
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次に、遮熱・断熱の主要塗料メーカーです。
塗料メーカー | 商品名 | 部位 | ベース塗料 | ㎡単価 |
日本ペイント | サーモアイ(遮熱) | 屋根・外壁 | シリコン/フッ素 | 3,940円/4,610円 |
日本特殊塗料 | パラサーモ(遮熱) | 屋根 | シリコン/フッ素 | 3,400円/3,900円 |
エスケー化研 | クールタイト(遮熱) | 屋根 | シリコン/フッ素 | 3,750円/4,750円 |
日進産業 | ガイナ(断熱) | 屋根・外壁 | シリコン | 3,800円 |
※㎡単価は各塗料メーカー設計単価表(300㎡以上)より
※ガイナの耐久年数は15~20年と言われてますが、ベース塗料の年数ぐらいで考えときましょう。
【個人的見解】
「室内がかなり涼しくなる」という感覚で使用されると、少し期待外れになります。
屋根や外壁の表面温度は、10℃近く変わったりしますが、屋根や外壁の構造体から考えると、正直そこまでの効果は期待できないでしょう。
「エアコン代が安くなる」という夢のようなこともないと思ってください。
あくまでも「屋根や外壁の素材や躯体を熱から保護する」+αというぐらいで考えときましょう。
ちなみに、各メーカー公表の性能を見比べると、ガイナの機能性が頭ひとつ抜きんでている印象です。
ただ、唯一の問題は、塗料自体に実績がない点ですね。
「ガイナ」は、良い塗料であることは間違いなんでしょうけど、業界関係者も今は様子を見ながら…という感じです。
安心を求めるなら大手有名メーカーの遮熱塗料を、多機能を期待するならガイナを。
マイナーな塗料メーカーはやめておいた方が無難でしょう。ちょっとリスクが高い気がします。
ラジカル制御塗料とは?
【ラジカル塗料の特徴】
ラジカル塗料を簡単に説明すると、塗料に紫外線が当たると「ラジカル」という成分が発生します。
その成分は塗装を破壊する原因の一つなので、その発生を抑えることに成功した塗料です。
だから、正式名称は「ラジカル制御形塗料」ですね。
ですので、本来持っている塗料の耐久年数が伸びるという、コスパの良い塗料です。
2012年に日本ペイントの「パーフェクトシリーズ」を皮切りに、他大手メーカーも着手、飛躍的にラジカル塗料の知名度が上がりました。
余談ですが、「ラジカル」という名前は塗料の樹脂(ベース)ではなく名称です。
ですから、アクリルなのかウレタンなのかシリコンなのか、塗料の樹脂(ベース)を必ず確認しましょう。
有名どころの主要塗料は、下記に載せておきますね。
【こんな方にオススメです】
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耐久年数のわりに、価格もお手頃です。
ラジカル塗料は、濃い色を選んでも今までよりは色あせしにくい、と言われていますので期待できます。
【デメリット・注意点】
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ん…ラジカル制御塗料は、実際によく使っている塗料ですが、いまのところあまりデメリットというデメリットは感じられないですね。
実績がないとはいえ、ラジカル塗料に関しては塗料3大メーカーの日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研も出してますので、大手メーカーのものであれば、ある程度信頼して良いと思います。
こちらが、ラジカル塗料の主要塗料メーカーです。
塗料メーカー | 塗料名(人気商品) | ベース塗料 | ㎡単価 |
日本ペイント | ファインパーフェクトシリーズ | アクリル樹脂 | 3,180円 |
関西ペイント | アレスダイナミック | シリコン樹脂 | 3,000円 |
エスケー化研 | エスケープレミアムシリコン | シリコン樹脂 | 3,300円 |
【個人的見解】
ん…繰り返しになりますが、今のところ特に大きなデメリットはないですね。
ただ、各メーカーが公表している「15年程の耐久年数があるか?」といわれると、それはまだ未知数です。
発売されてからまだ15年経っていませんので。
ただ、大手メーカーがこぞって製造、販売してることを考えると、機能性塗料の中でも注目の塗料なのは間違いないと思います。
コスパが良ければ、ラジカル塗料でもいいかと思います。
ちなみにラジカル塗料も、見た目は通常の塗装となんら変わりません。
結局何を選べばよいか?【結論】

さて、ここまで「塗料の選び方」や「塗料の種類」を説明してきました。
気に入った塗料はありましたか?
「塗料は何を選べばいいか」の答えは、「その家に住む人の考え次第」です。
これは塗装のプロとして発するには、少々無責任に聞こえるかもしれませんが、それ以上の的を得た答えはありません。
結局何が言いたいかというと、塗料の性能もよく確認せずに、業者の薦めてくる塗料をそのまま受け入れたり、『塗料は良く解らないから』と自身で調べることを放棄してしまい、一般的に多く使われている塗料を選んで塗装をしてはいけない、ということです。
だから失敗するんです。
だから後悔するんです。
塗料を決めるのは、そこに実際に住んでいる、あなた自身だということを忘れてはいけません。
いつも思います。
『業者が良くなかった』ではなく、お客さんにも問題があると。
全ての業者が良い業者とは限りません。
全ての業者がお客さんの考えや気持ちを汲んでくれるわけではありません。
それはどの商売でも一緒です。
日常では100万・200万の大きな買い物をするのに、商品を知らずに買うなんて人はいません。
でも、塗装工事はそういった方がゴロゴロいるんです。
「塗装工事」は正直塗ってみないと分からない部分は確かにあります。
なぜなら、人がする工事ごとだからです。
もしかしたら作業する職人次第で『失敗したー』となるかもしれません。
でも、塗装工事に使用する「塗料」は違います。
ちゃんと事前に調べれさえすれば、必ず分かるものです。
逆に言えば、塗料においての『失敗したー 』は無くすことが出来るんです。
ですから、まずは納得いく塗料をじっくりと選んでください。
そして、今回のこの塗料について書き綴った情報が、少しでも皆さんの役に立てれば幸いです。
あなたの大切なお住まい、必ず塗装工事を成功させましょう。
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