さて、今回は外壁塗装の手抜き工事にフォーカスして解説していきます。
せっかくの外壁塗装工事、手抜きだけはホントに勘弁してほしいものですよね。
ということで今回は、悪質な塗装業者がよくやる12の手抜き工事の紹介と、手抜き工事をされないために、どのような対策をしておけば良いのか?などを、現役のプロが具体的に解説していきます。
本記事を読めば、外壁塗装の手抜きの目的や手口が分かり、悪質業者の手抜き工事を悪事前に回避できるようになります。
外壁塗装業者が手抜き工事をする本当の理由とは
そもそも「なぜ塗装業者は手抜き工事をするのか」ご存じですか?
手抜きを行う主な理由は「工期を短縮するため」です。
外壁塗装は人間(職人)が行う工事になりますので、工事日数を短縮することで人件費の削減に繋がり、より多くの利益を残すことができるわけです。
ですから本来であれば、いかに段取りよく人員配置を行い、効率よく作業して現場を回していくかが経営のカギを握るんですが、なかにはありえないような手抜きを行って早く工事を終わらせてしまおうと考える悪質な塗装業者もいるわけです。
これから紹介する「塗装業者がよくやる12の手抜き事例」も、そのほとんどが工期短縮を目的としたものですので、ぜひ頭の片隅に入れながらチェックしてみてください。
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外壁塗装業者がよくやる手抜き工事12パターン
これまでの私の20年以上に及ぶ業界経験の中で、特によく聞く悪質業者の手抜き12事例を書き出しています。もう少し絞り込めば良かったのですが、これでもかなり厳選したつもりです。
✅外壁塗装業者がよくやる手抜き工事12パターン
※気になる項目をクリックすると移動できます
適当に足場を組まれた
■手抜き事例 その1
見積もりでは足場代で数十万払っているはずなのに、簡易的な足場を組まれたんだが…。
外壁塗装工事において「足場の手抜き」はよくあるケースです。
塗装業者は自社で足場を組まず、足場屋に外注することが多いのですが、なかには自社で脚立(はしご)と道板で簡易的な足場で済ませたり、部分的な足場組みで済ませて、外注費を減らそうと考える塗装業者もいます。
事前にどのような足場を架けるかの説明があればまだ良いのですが、なんの断りもなく手抜きの足場を組まれれば、近隣の家や付近の車などに塗料が飛散したり、さらには安全管理上の責任を問わるなどして大問題に発展する恐れもあります。
✅事前対策
- 契約前に「どのような足場を立てるのか?」を確認しておくこと
- 契約時に「工事仕様書」を作ってもらうこと
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高圧洗浄を適当にされた
■手抜き事例 その2
高圧洗浄が始まって2時間も経たないうちに終わっていた。ちゃんと洗浄できているか心配だ。
洗浄作業は、外壁塗装工事の基本中の基本です。
たとえどんなに高性能塗料を使ったとしても、洗浄がしっかり出来ていなければまったくその効果は得られません。
『下塗り材を塗るから問題ないですよ』などと回答する馬鹿げた業者もいますが、完全に手抜きです。
家の大きさにもよりますが、屋根・外壁をまともに洗浄すれば最低でも4〜5時間はかかるはずです。
✅事前対策
- 洗浄の施工前後の写真を撮ってもらう
- 可能なら洗浄後に外壁を確認
下地調整(補修)をちゃんとしてくれなかった
■手抜き事例 その3
担当者はコーキング補修やひび割れ補修なども行うと言っていたが、まったく補修している形跡が見られなかった。
外壁塗装工事は下地調整がとても大切です。
本来、紫外線や雨風から家を守るための外壁塗装ですが、屋根や外壁のひび割れなどの補修をせずに塗装すればその効果は得られません。
特に、サイディングやALCなどの外壁材であればコーキング補修、モルタル壁はクラック(ひび割れ)などの補修が必須項目であり、その作業次第で大きく耐用年数が変わってきます。
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✅事前対策
- 下地補修の施工前後の写真を撮ってもらう
- 契約書や工事仕様書に補修内容を明記してもらう
塗料を薄めて塗られた
■手抜き事例 その4
工事してからたった3年で外壁が色褪せてきた。たぶん塗料を薄めて塗られたんじゃなかろうか…。
「塗料を薄めて塗る」もよくある手抜き工事の一つです。
塗料には希釈率といって、どのくらい薄めて塗れば良いのか?という規定(決まり事)があります。
その規定量以上に塗料を薄めすぎると、塗料そのものの性能が落ちたり、最悪の場合、工事後に塗膜(塗装の膜)が剥がれたり極端な色褪せを起こしたりします。
しかもこの手抜きが厄介なのが、塗装後1〜2年経過してからしか症状がでない点です。
ちなみに塗装業者が塗料を薄める最大の理由は、塗料代をケチるというよりは工事を早く終わらせたいためです。
新たに塗料発注をかければ届くまでのあいだ工事はストップしてしまいますし、それであれば今ある塗料でなんとかしてしまおうと考えるわけです。
✅事前対策
- 塗料メーカー発行の「出荷証明書」を提出してくれる業者に依頼する
- 施工前後の写真を撮ってもらう
»塗料の出荷証明書とは?
説明された塗料とはまったく違う塗料を使っていた
■手抜き事例 その5
たまたま庭先に置いてあった塗料缶を見てみたら、契約時に10年持つと説明を受けた塗料とはまったく別の塗料が置かれていた。職人に問いただしたら一部違う塗料を使ったと事実を認めた。
これもタチの悪い手抜きの一つですね。
塗装業者が塗料をすり替える理由は、在庫塗料を使用したりランクの低い塗料を使うことで塗料代を浮かせる為です。
この手抜きは、高性能な塗料をウリにしている塗装会社に多く見られますので注意です。
✅事前対策
- 工事仕様書および契約書に塗料の商品名を明記してもらう
- 出荷証明書の提出をお願いする
- 塗料缶の写真を撮ってもらう
打ち合わせしていた色とは違う色に仕上がった
■手抜き事例 その6
工事が終わって仕上がりを確認したら、屋根や外壁の色が打ち合わせの時の色とは違っていた。
「塗料の色が違う」といった問題は外壁塗装にはよくあるトラブルの一つです。
しかしその多くは手抜きが原因というより、契約時に色の打ち合わせをちゃんとしていないか、もしくは塗料の色を間違えて発注したかのどちらかです。
しかしごく稀に、塗装業者が塗料代をケチり、似た色の在庫塗料で塗装するといった手抜きを行うケースもありますので十分注意しましょう。
✅事前対策
- 工事仕様書および契約書に塗料の色ナンバーを明記してもらう
- 色の打ち合わせの段階で、板見本(A4サイズ)でしっかり確認する
»外壁塗装の失敗しない色決めの方法
3回塗りのはずが2回しか塗られていなかった
■手抜き事例 その7
日中こっそりと作業を確認していたら、2回しか塗っていなかった。業者に確認したが3回塗ったと言い張られた。
塗り重ねる回数を減らしたかどうかは、私どもプロからしてみれば一目瞭然ですが、素人の方ではなかなか判断がつかないでしょう。
当然ながら塗り重ねる回数が減れば、塗料本来の性能は発揮されませんし、色褪せや防水効果も早い段階で低下してくるでしょう。
塗装業者が3回塗りを2回塗りにする理由は、早く終わらせたいために工程数を減らしたか、材料(塗料)が足りなくなり工程数を減らしたかのどちらかです。
✅事前対策
- 工事仕様書に何回塗りかの工程数を明記してもらう
- 中塗り塗料の色を、上塗り塗料とは違う色にしてもらう
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手塗りと聞いていたが吹き付けされた
■手抜き事例 その8
『うちはすべて手塗りで仕上げます』と言っていたから頼んだのに、途中から吹き付けで塗装していた
塗料の種類や外壁の建材次第では吹き付け施工で仕上げることはよくありますが、説明もなしに勝手に工法を変更することは完全に契約違反です。
先にも説明しましたが、吹き付け塗装をするならばそれ専用の養生や飛散防止シートを掲げるなどの対策を取らないと、ご近所トラブルにも繋がりますので注意です。
✅事前対策
- 契約時に「手塗り」か「吹き付け」かを確認しておく
- 工事仕様書に「手塗り」か「吹き付け」かを明記してもらう
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1日で下塗り・中塗り・上塗りまで終わった
■手抜き事例 その9
気づいたら1日で下塗り・中塗り・上塗りまで一気に終わっていた。本当に3回塗ってくれているのか心配。
こちらも工事を早く終わらせようとしたがためにする、よくある手抜きです。
塗料には「塗り重ね乾燥時間」といって、塗り重ねが可能になるまでの待ち時間があります。
しかし、この待ち時間を無視して次の塗装工程に移ってしまうと、塗膜(塗装の膜)がシワシワになったり膨れたり割れたりする症状が出る問題につながります。
よっぽど気候が良い時期ならまだしも、1日で下・中・上塗りまで仕上げてしまうことは基本的にありません。
✅事前対策
- 今日はどこまで進んだか?明日はどんな工事をするのか?といった工事進捗を毎日報告してもらう
- 全工程の写真を撮ってもらう
10日前後で終わるはずが一か月以上もかかった
■手抜き事例 その10
当初、工事期間は10日程と聞いていたが、気付けばすでに一ヶ月近く。家の中も暗いし気が滅入る。
先程は早く終わりすぎることが問題でしたが、今度は逆になかなか工事が終わらないという事例です。
こちらの場合は、直接施工品質に関係してくるような重大な問題ではありませんが、やはり長いこと部屋が暗くなるのは勘弁してほしいものですよね。
原因は、単純に職人の数が足りていないためです。特に春や秋の繁忙期と言われる時期は、職人の数が不足しがちで、予定より少ない人数(一人とか二人)で作業しているためです。
✅事前対策
- 工事の日程や工事期間を業者任せにしない
- 万が一工事期間が長くなれば、迷わず業者に要望を伝え改善してもらう
塗ると説明を受けた部位を塗ってくれなかった
■手抜き事例 その11
契約時には塗装すると説明を受けたはずの換気フードやエアコン配管カバーなどが塗装されていなかった。業者さんに確認すると、『そんな説明はしていない』と言われ、『もし今から塗るなら別料金がかかる』と言われた。
こちらは手抜きというより、単純な打ち合わせ不足によるトラブル事例といえるかもしれません。
仮に、業者が故意に塗っていないのであればとうぜん手抜きなのですが、塗装業者としても後々トラブルになるであろうことは簡単に想定できるはずなので、あえて塗らないことはほぼない気がします。
とはいえ、言った言わないのトラブルが多い外壁塗装工事ですから、必ず契約時に書面での取り交わしを行い、どこまで塗るのかを確認するようにしましょう。
✅事前対策
- 契約時に「工事仕様書」を作成してもらい、どこまで塗装してくれるかの確認をする
雨が降っているのに工事を続けられた
■手抜き事例 その12
作業途中で雨が降ってきたのにそのまま作業を続けてた。大丈夫か心配になり業者に確認したが、多少の雨なら問題はないと言われた。
雨の日に塗装して良いことは一つもありません。あとあと塗膜のハガレ、ふくれ、亀裂などの不具合に繋がります。
最近では、関西ペイントの「アレスダイナミックフィラー」という、雨の日でも塗装可能な塗料(下塗り材)も出てきてはいますが、とはいえ、晴れている時の塗装に越したことはありません。
塗装業者がよく言う「多少の雨なら問題ない」発言は、ただ単に作業を早く終わらせたいだけの完全な手抜き工事と考えておくのが良いでしょう。
✅事前対策
- 良識ある塗装業者を選ぶ
- 雨が降り始めたら作業を中止してもらう
まとめ:外壁塗装の手抜き工事について
ということで、今回は外壁塗装業者の手抜きについていろいろ説明してきました。
手抜き工事をされないようにするための一番の対策法は、やはり工事前の細かい打ち合わせです。
何をどのように、どういった工事をするのかを事前に把握して塗装業者と共有することがとても大切です。
良い外壁塗装工事をするためには、費用面や塗料の性能なども重要ではありますが、それ以上に塗装業者さんとの密なコミュニケーションが最大の対策法と言えます。
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