今回は、屋根瓦に使用されている「モニエル瓦」という瓦について、分かりやすく書いていきます。
本記事は、こういった方に最適です。
・モニエル瓦の家に住んでいる
・うちの屋根がモニエル瓦か確認したい
・モニエル瓦のメンテナンスについて知りたい
モニエル瓦とはどんな瓦か。
モニエル瓦を説明する前に、まずは画像で確認してみましょう。
誰しも一度はどこかでみたことがあるような瓦ではないでしょうか。
さて、このモニエル瓦ですが、実は「モニエル瓦」という名称は「瓦の種類 」ではありません。
ラファージュルーフィング株式会社(旧 日本モニエル社)が製造・販売していた、「乾式コンクリート瓦」のブランド名です。
ではなぜ、モニエル瓦という名称で呼ばれているのか。
それは、旧・日本モニエル社の製造した乾式コンクリート瓦が有名になりすぎて、他社の乾式コンクリート瓦も、いつしかモニエル瓦と呼ばれるようになっていった、という背景です。
ですから、正確に言うと、モニエル瓦は「乾式コンクリート瓦(乾式洋瓦)」の一種となります。
・正式には「乾式コンクリート瓦」に分類される
乾式コンクリート瓦とはどんな瓦か。セメント瓦との違いは?
では、乾式コンクリート瓦とはどういった瓦なのか。
よく似た瓦に「セメント瓦」というものがありますが、これとはまるっきり違うので注意してください。
細かくいうとその違いはたくさんありますが、ここでは分かりやすく大きな違いを2点説明します。
1.構成成分がセメントかコンクリートか。
2.瓦表面の仕上げがまるっきり違う
1.瓦の構成成分が「セメント」か「コンクリート」か。
まず一つ目の違いが、名前の通り構成されている成分が「セメント」か「コンクリート」かの違いです。
そもそも「セメント」と「コンクリート」の違いってなに?
と、思われる方も多いと思いますので、併せて説明していきます。
硅石(けいせき)や石灰石、粘土などを燃焼し、砕いて粉末状にした粉のこと。
水と混ぜ合わせることで、固形化する。
成分は、セメント、砂、砂利で構成されている。
「セメント:砂:砂利」を「1:3:6」の割合で、水と混ぜ合わせ固めたもの。
・セメントは、粉末を水で固める為「きめ細かい」
・コンクリートは、セメントに砂や砂利を配合させる為「粗い」
2.瓦表面の仕上げ方がまるっきり違う
セメント瓦と乾式コンクリート瓦の違いのもう一つの決定的な違いは、瓦表面の仕上げ加工にあります。
- 乾式コンクリート瓦
そしてその上に、クリア塗装(透明な塗装)でコーティング加工されています。
- セメント瓦
この違いは、今後塗り替え塗装を検討される方にとって、非常に重要なポイントになります。
理由は、乾式コンクリート瓦は、この特殊な仕上げ加工がゆえに、セメント瓦とは塗り替え方法がまるっきり異なるからです。
とはいっても、その塗り替え方法を詳しく知っとかないといけない、ということではありませんので安心してください。
ここでは、「ご自宅の屋根瓦がセメント瓦なのか、コンクリート瓦なのかを把握しておく」
そしてご自宅の瓦が乾式コンクリート瓦なのであれば、「塗装(塗り替え)の際には注意しないといけないな」と覚えておけばOKです。
セメント瓦の塗り替えについての注意点は特にありません。
瓦の見分け方は、「瓦の裏側の刻印・ネーム」を見るか、上記画像の「小口」で確認することが出来ます。
※瓦の形状(カタチ)で判断すると、セメント瓦も同じような形状がある為見誤ります。
乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)の塗り替えについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらを確認ください。
モニエル瓦以外の「乾式コンクリート瓦」製品名一覧
では次に、モニエル瓦を含めた乾式コンクリート瓦の製品を一覧にしておきます。
現在、インターネットで検索しても、乾式コンクリート瓦の製品名をまとめているサイトがないので、非常に役立つと思います。
これらの製品名称から、ご自宅の瓦が乾式コンクリート瓦かどうかの判断が可能です。
【 建築設計図面 】の【 屋 根 】を確認してみて下さい。
下記に同じ名前があれば、モニエル瓦、すなわち乾式コンクリート瓦確定です。
以下、乾式コンクリート瓦の製造元と製品名です。
・ホームステッド
・センチュリオン
・ニューシャプレ
・ヴィラ クラシック
・スカンジアSS
・スカンジアFF
・エクシード
乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)は現在入手困難
次に、乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)の場合のメンテナンスの注意点です。
先に書いた様に、当時使われていた乾式コンクリート瓦は、現在すべて生産中止・廃盤となっており、入手が非常に困難な状況です。
ということは、仮に台風などで瓦が破損し、部分的な差し替えが必要になった場合、予備瓦がなければ修理が出来ない恐れもあるということです。
ですから、仮にご自宅の屋根が乾式コンクリート瓦であれば、ご自宅で使用されている瓦の製品名を調べ、事前に数枚確保しとくことを強くオススメします。
定期的に中古品が出回ったりしていますので、こまめに瓦屋などに問い合わせをしてみると良いでしょう。
ちなみに、瓦全体を交換(葺き替え)すれば、何百万もの工事費用が掛かります。
特に屋根の修理は急を要する箇所ですし、『瓦が揃うまで』…という訳にもいかないことがほとんどです。
それを考えたら今のうちに少しづつでも準備しておくのが得策ですよね。
まとめ
さて、今回はモニエル瓦(正式には乾式コンクリート瓦)について書いてきましたが、参考になりましたでしょうか。
私も常日頃塗装工事でお客さんとお話しする機会が多いんですが、大抵の方はご自宅の屋根瓦の種類を知らない方ばかりですね。
もちろん瓦に限らず、外壁材やその他の部位についても同じですが。
私は、やはりお住まいの基本的な知識を得ることで、将来的なメンテナンスを間違いなく最小限に抑えることが出来ると考えます。
当ブログでは、実際に現場に立ってみて初めて気付くような、有益な情報をまとめて記事にしていますので、興味があれば他記事もぜひ読んでみて下さい。
では、最後にポイントをまとめておきます。
・日本モニエル社が製造した瓦のブランド名
・正式には「乾式コンクリート瓦」に分類される
・「セメント:砂:砂利」を「1:3:6」の割合で水と配合プレス加工した瓦
・瓦表面に「スラリー層」という特殊な加工がされている為、再塗装の際に注意が必要
・セメント瓦とは全くの別物
・当時使用されていた乾式コンクリート瓦は、現在すべて廃盤
・その為、事前に予備瓦(中古品)を確保しておくと◎