モルタル壁の塗り替え時期と正しいメンテナンス方法

モルタル壁の塗り替え時期と正しいメンテナンス方法

今回は、外壁がモルタル造りのお住まいの方向けに役立つメンテナンス情報をお届けします。

 

✅本記事はこんな方が対象です。

  • モルタル壁の家にお住みの方
  • これからモルタル壁を塗装をしようと考えている方
  • モルタル壁の塗装時期(周期)を知りたい方
  • 塗装業者に騙されたくない方

 

 

本記事を読むことで、モルタル壁の塗り替え適正時期タイミング、ご自宅のモルタル壁の状態チェック方法、さらにはモルタル壁の適切なメンテナンス方法などが分かります。

 

特に、モルタル壁にはモルタル壁特有の補修方法や注意事項などもありますので、ぜひ最後まで読んでご自宅の外壁塗装に役立ててください。

 

 

目次

モルタル壁を長く綺麗に保つ秘訣は「定期的な塗り替え(再塗装)」

 

一般住宅のモルタル壁を長く綺麗に保つためには、定期的な「塗り替え(再塗装)」が重要です。

 

モルタルは防水性が低いため、新築時にはモルタル表面を塗料でコーティングしています。しかし、年数の経過とともに塗膜(塗装の膜)は徐々に劣化していき、次第に雨水をしみ込むようになり乾燥収縮を繰り返すことでクラック(ひび割れ)や亀裂が発生します。

 

ですから、モルタル壁にクラック(ひび割れ)が起こる前に塗装してあげることがとても重要なのです。

 

30年持つといわれるモルタル壁も、定期的なメンテナンスを行ってこそ維持できるということです!

 

 

モルタル壁の塗り替え時期

 

モルタル壁の塗り替え時期は、新築してだいたい8〜10年目が目安となります。一度塗り替えた場合も同じです。

 

ただし、家の造りや立地などにより塗り替え時期(周期)は変わってきますので、あくまでも目安でしかありません。

 

であれば、どうすれば適切な塗り替えの時期が分かるのか?

 

それは、ご自宅のモルタル壁の状態から塗り替え時期を見極めることです。ちゃんとお住まいと向き合い、モルタル壁の健康状態をしっかりチェックしてあげて、適切なタイミングで適切なメンテナンスを行う必要があるわけです。

 

 

人間の身体と同じで、年齢だけで健康かどうかは判断できないということですね!



年数経過とともに現れるモルタル壁の劣化症状4段階(レベル1〜4)

 

では、さっそくモルタル壁の劣化症状4段階に分けて解説していきます。

 

年数が経つとモルタル壁はどのような劣化症状が出てくるのか。そして、あなたのお住まいのモルタル壁はどのレベルまで劣化しているのか?などをしっかりチェックして、ご自宅の塗り替え適正時期を把握していきましょう。

 

 

モルタル劣化レベル1「コケ、カビ」

モルタル劣化レベル1「コケ、カビ」
北側の陽が当たらない壁によく発生するコケ・カビ

 

モルタル壁の劣化第一段階では、まず「コケやカビ」といった汚れが付き始めます。

早ければ築3年目あたりからつき始めるお住まいもありますが、この段階では特に心配する必要はありません。

コケ・カビなどの汚れは、直接モルタル壁を痛めるような要因にはなりませんので、塗装の時期としてはまだもう少し先と判断できます。あくまでも美観の問題だけです。

 

外壁表面が凸凹しているモルタル壁は、表面がツルツルしたサイディングボードなどと比べると水はけも悪く、早い段階で汚れがつきやすいわけです。

 

コケ・カビなどの汚れはまだ大丈夫!美観が気になるようであれば塗装するのもありですが。

 

 

モルタル劣化レベル2「ヘアクラック(細かいひび割れ)」

モルタル劣化レベル2「ヘアクラック(細かいひび割れ)」
築11年目の和風のお住まい。ヘアクラックが出始めている。

 

続いて、レベル2の劣化症状が「ヘアクラック」です。ヘアクラックとはその名の通り、髪の毛のような細いひび割れのことを言います。※幅0.3㎜以下、深さ4mm以下のクラック

 

ヘアクラックが現れるのは、早ければ6〜7年目あたりからです。ヘアクラックは、モルタル壁の劣化初期段階ですので、そろそろ塗装時期だというサインです。

 

ヘアクラックは、じっくりと確認しないと見落としてしまうぐらい分かりにくいので注意です。ヘアクラックが発生しやすい場所は、窓枠サッシ周り玄関ドア周り日差しが強い南側の外壁などによく現れますので細かく確認するようにしましょう。

 

ヘアクラックが発生していれば塗り替え適正時期です!

 

 

モルタル劣化レベル3「クラック(大きなひび割れ)」

モルタル劣化レベル3「クラック(大きなひび割れ)」
築24年のお住まい。ご自身で補修していたクラックがさらに大きくなってしまった様子

 

続いて、劣化レベル3の症状はクラック(大きなひび割れ)です。先ほどのヘアクラックに気付かず放置してしまっていると、いつの間にかクラックになっています。※幅0.3mm以上、深さ4mm以上のクラック

 

この段階に来るとモルタル壁の塗装工事だけではなく、クラックの補修工事も必要となります。

 

クラックが起こる原因は、他にも地震や地盤の揺れに起因するものもありますが、どちらにしてもモルタル壁の中に雨水が入りこみ劣化が加速していきますので、できる限り早い段階での補修と塗り替えが必要になります。

 

補修費用が高くなる前に早めの塗り替えをしましょう!

 

 

モルタル劣化レベル4「剥がれ」

モルタル劣化レベル4「剥がれ」
築36年のお住まい。モルタルの上に漆喰を塗っていたが、モルタルごと剥がれてしまっている状態

 

劣化レベル4、最終段階に起こる症状がモルタル壁の「剥がれ」です。

 

先ほどのクラックをそのまま放置しておくと、モルタル壁の割れ目から雨水が侵入し、モルタルの中にあるラス(金網)が錆びつき膨張し、最終的にはモルタルが剥がれ落ちてしまいます。

 

こうなってしまうとモルタル壁自体のやり直しが必要であり、莫大な補修費用がかかってきます。そしてこの状態を放置すると、建物の躯体(木部)まで雨水が侵入し腐食し、最終的には室内への雨漏れやシロアリなどの甚大な被害に繋がっていてしまう恐れがあるわけです。

 

早急に補修し、塗り替えをする必要があります!

 

 

【要注意】モルタル壁の劣化具合はチョーキング現象では測れない!

【要注意】モルタル壁の劣化具合はチョーキング現象では測れない!
築18年のお住まいだが、ほとんどチョーキングが手に付かない。逆にボロボロと骨材が落ちてくる。

 

モルタル壁の劣化や塗装時期を判断する上で一つだけ注意点があります。

 

それは、「モルタル壁の塗装時期をチョーキング現象で判断してはいけないという点です

チョーキング現象とは、外壁をそっと手でなぞるとチョークのような白い粉がつく劣化症状のことです。

 

 

モルタル壁の表面はザラザラしているために、いくら外壁を触っても白い粉(チョークのような粉)は手につきません。

うちはチョーキングしていないからまだぜんぜん大丈夫!」と思っていたらいつの間にか大きなクラックが・・・なんてことにならないように十分ご注意ください。

 

【補足情報】

  • チョーキングが手に付きやすい壁…ボンタイル
  • チョーキングが手に付きにくい壁…リシン・スキン・スタッコ

 

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モルタル壁の正しいメンテナンス方法

 

では最後に、モルタル壁の適切なメンテナンス方法について解説します。

 

以下は、モルタル壁の劣化状況に応じて必要になってくる補修内容になります。あらかじめ正しいメンテナンス知識を知っておくことで塗装業者の良し悪しの判別にも使えますし、何より騙されているんじゃないか?という不安にかられる心配がなくなりますので、ぜひ覚えておきましょう。

 

※注意:モルタル壁の補修方法や塗装工法に関しては、業者により考え方や工法に若干違いがあることがあります。

 

 

1.コケ・カビなどの汚れは高圧洗浄で綺麗に洗い流す

 

コケ・カビなどの汚れは、高圧洗浄で綺麗に洗い流します。落ちにくい強靭な汚れには薬品洗浄をすることもありますが、ほとんどの場合は通常の高圧洗浄で問題ないでしょう。

 

ケルヒャーなどの家庭用の高圧洗浄機で、水圧を一点集中にしてコケ・カビなどを取っている方がいますが絶対におすすめしません

 

一見、綺麗に汚れが落ちているように感じますが、実際は表層(塗装の膜)を削っているために綺麗になっているだけです。つまり、モルタル壁の表層の塗膜を傷つけてしまっていますので、逆に汚れがつきやすい状態となり、モルタル壁の寿命も縮めてしまっているわけです。

 

高圧洗浄は、あくまでも塗装することが前提の作業だと覚えておきましょう。



2.モルタル壁のクラック(ひび割れ)には下地調整が必要

 

モルタル壁のクラックには、「ヘアクラック」と「構造クラック」の2種類あります。

 

■ヘアクラックの補修について

ヘアクラック(幅0.3㎜以下、深さ4mm以下)の場合は、塗装(下塗り材)で隙間を埋めることができますので補修は必要ありません

 

■構造クラックの補修について

一方、構造クラック(幅0.3mm以上、深さ4mm以上)は、ひび割れた箇所にゴムのような素材でできたシーリングを充填する必要があります。雨水がモルタル壁の中に入り劣化するのを防ぐためです。補修した箇所はミミズ腫れのような段差ができてしまうため美観は悪くなります。

 

 

3.一般住宅のモルタル壁にはVカット補修工法はあまりおすすめしない

 

最近では、一般住宅のモルタル外壁でもVカット工法でクラック補修を行う業者が増えてきました。

 

Vカット工法とは、クラックに沿ってサンダーでV字にカットして、ブラシで埃を除去した後にプライマーを塗布して樹脂モルタルやシーリング材で充填する工法です。

 

モルタルのVカット工法の作業画像

モルタル壁の構造クラックをサンダーでVカットしている様子

一般住宅のモルタル壁の厚さは約3cm。深く削りすぎるのも良くない。

 

 

モルタル壁のVカット工法のメリットとしては、

  • より深くまでシーリングを充填することができるため、モルタル壁がひび割れしにくくなる
  • 補修したあとの段差が目立ちにくくできる(仕上がりが綺麗になる)

などがありますが、一方で一般住宅のモルタル外壁は通常3cm程しか厚みがないため、削りすぎるとモルタルが割れたり剥がれたりするリスクもあり、ひいてはモルタル壁の耐久性にも問題が生じる危険性も考えられるわけです。

 

ですから、もしVカット工法を提案してくる塗装業者さんがいたら、しっかりと説明を聞いて、上記リスクもちゃんと確認した上でお願いするのがベストだと思います。

 

安易にVカットすれば間違いない、とも言い切れないわけです。そもそもVカット(Uカット)は、分厚い鉄筋コンクリート(PC造)にできたクラックを補修するための工法なのです。



4.モルタル壁の下塗り材には微弾性フィラーを使用

モルタル壁の下塗り材(1回目の塗装)には「微弾性フィラー」を使用してもらうようにしましょう。

 

モルタルの最大のデメリットはやはりクラック(ひび割れ)や亀裂です。そのデメリットを補ってくれるのが下塗り材「微弾性フィラー」です。

 

微弾性フィラーの画像

画像は日本ペイントのパーフェクトフィラー。微弾性フィラーで塗ると白い色になる

 

 

微弾性フィラーとは、ゴムのような収縮性に富んだ性質を持つ下塗り塗料のことで、これをモルタル壁に塗ることで、モルタルのクラックを壁の表面まで出さないような効果が期待できます。

 

ほとんどの塗装業者さんはモルタル壁には微弾性フィラーを使いますので、あえてこちらから指定する必要はありませんが、一応覚えておくと良いでしょう。

 

 

5.老朽化が進んでいるモルタル壁にはマスチックローラーで厚塗りを

 

モルタル壁の老朽化が進み、目に見えて何箇所もクラックが確認できる場合は、先ほどの微弾性フィラー(下塗り)をマスチックローラーで仕上げます

 

マスチックローラーとは、塗料を厚付けするための特殊なローラーで、外壁表面が小波のような凹凸のある表情に仕上がります。

 

外壁塗装のマスチックローラー仕上げ

マスチックローラーで仕上げたモルタル壁。波打ったような模様に仕上がる。

 

マスチックローラーで仕上げるメリットは、「クラック補修跡の段差が目立ちにくくなる」と「施工後のクラック防止になる」の2点です。デメリットは「厚塗りをする分若干塗料代が高くなる」です。

 

クラックを抑えてくれる効果のあるマスチックローラー仕上げは、モルタル壁では非常によく使う工法ですので、ぜひ採用してもらってモルタル壁を長く綺麗に維持しましょう。

 

 

まとめ:モルタル壁の塗り替え時期と正しいメンテナンス方法

 

さて、今回はモルタル壁の適切な塗り替え時期についてや、適切なメンテナンス方法などの解説をしてきました。

 

外壁の素材が違えば、メンテナンス方法や塗装の時期などもガラリと変わるもの。それを知らずにお隣さんやお知り合いさんの情報をもとに判断していると、大切なお住まいがいつの間にか劣化してしまっていた、なんてのはよくある話です。

 

では、改めて本記事の重要な点をまとめていきます。

 

✅【まとめ】モルタル壁のメンテナンス(塗り替え)の注意すべき5項目。

  1. モルタル壁の塗り替え時期の目安は築8年あたりから。

  2. 外壁にヘアクラックが入り始めたら塗装時期と考えよう。

  3. モルタル壁はチョーキング現象が分かりづらいので注意!

  4. 構造クラックはしっかり補修した後に塗装をすること。

  5. 下塗りには微弾性フィラーを塗るとクラックが入りにくくなる。

 

 

ぜひ本記事を参考にしていただき、ご自宅のモルタル壁を長く綺麗な状態で維持できるようにしましょう♪

 

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この記事を書いた人

年商6億の元塗装会社社長がお届けする外壁塗装の豆知識。業界20年の経験・体験をもとに、他では聞けない役立つ情報から裏情報までお届けしています!
<これまでの経歴>
大手不動産会社勤務、大手塗装会社勤務、2015年塗装会社設立、約20年以上にわたり建築塗装全般に携わり、現在は塗装業のコンサル事業を展開。

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