ハウスメーカーや訪問販売の大手塗装会社などが提案してくる「オリジナル塗料」。
オリジナル塗料と聞くと「プレミア感」「特別な塗料」という印象を受けますよね。

でも実際のところどうなの?
まさか…騙されてたりしないよね…?
そんな不安をお持ちの方に、今回は外壁塗装で使われる「オリジナル塗料の実態」や「メリット・デメリット」といった、素人ではなかなか分かりにくい点を、現役の業界人がすべて暴露していきます。
オリジナル塗料ってなに?

そもそもオリジナル塗料ってなに?

オリジナル塗料とは、その会社しか扱っていない自社ブランド塗料のことです。
オリジナル塗料は、商品力アップや他社との差別化にも繋がり、最近ではハウスメーカーや大手塗装会社など、数多くの会社がブランディングに力を入れています。
オリジナル塗料の実態・正体

オリジナル塗料は、すべてOEM商品となります。
オリジナル塗料や自社ブランド塗料と聞くと、「その会社が独自に開発・製造した塗料」と勘違いされがちですが、中身は市場に流通している一般塗料です。
つまり、「大手塗料メーカーが製造した塗料」の名前(商品名)だけ変えて、自社オリジナル塗料ということにしているわけです。

えっ!?自社オリジナル塗料ってそういうことなの?

そうなんです。塗料を造っているわけではなく、ちゃんと元となる製品があるんですね。
オリジナル塗料の仕組み
オリジナル塗料は、塗料代理店(卸売業者)が企画・提案しています。
■オリジナル塗料の企画の仕組み図
ここで注意したいのが、塗料メーカーはオリジナル塗料の企画・制作には直接関係していないという点です。
たまに『うちは塗料メーカーとプライベートブランド契約しているんです!』などと、独自開発しているニュアンスで説明してくるハウスメーカーや塗装会社があります。
しかし大規模な公共事業ならまだしも、一般住宅向けの塗料の出荷量などたかが知れていますので、その規模の会社と塗料メーカーが塗料を共同開発することなどまずありえないわけです。
結局オリジナル塗料といわれるものは、すべて塗料代理店が企画したOEM商品だと考えておいて間違いはないのです。
オリジナル塗料の価格
続いて、オリジナル塗料の価格について。
オリジナル塗料の価格は、通常より高く設定されています。
オリジナル塗料を作れば、カタログやパンフレットといった営業促進ツールも必要になりますので、その分余計にコストがかかります。
それと、オリジナル塗料を扱う理由の一つに「競合他社と比較できないような仕組みを作りたい」という目的があります。
これは、裏を返せば「安く売りたくない」という業者サイドの思惑があるわけです。
■オリジナル塗料を扱う業者側のメリット
- 販売商材を一本化することで塗料代理店に単価交渉。原価を下げ利益率を上げる。
- オリジナル塗料でプレミア感を演出し、強気の価格設定が出来る。
- 自社しか取り扱いのないオリジナル塗料で、比較検討される心配もない。
そう考えると、どの会社も安くする目的でオリジナル塗料を作っているわけではないということが分かります。
オリジナル塗料の性能・品質
続いては、オリジナル塗料の性能について。
オリジナル塗料の性能は、業者によりピンキリです。
ここが一番厄介な点です。
「この塗料はあり得ない」といった低品質な塗料もあれば、「ここまで高性能じゃなくてもいいのでは?」と思うようなハイスペックな塗料まで、扱う品質はさまざまです。
しかも、OEMの元になっている塗料名を訊いたところで教えてくれるわけもなく、それらを調べる手段もありません。結局その会社(担当者)が説明する情報を信じる以外ないわけです。
ここがオリジナル塗料の最大のデメリットであり、おすすめできない最大の理由です。
オリジナル塗料のデメリット
さきほど「オリジナル塗料の性能が見分けられない」といったデメリットを紹介しましたが、せっかくなのでそれ以外のデメリットもまとめて紹介しておきます。
■オリジナル塗料のデメリット
- 性能・価格の比較が出来ない
- 塗料の性能・グレードが分からない
- 価格の妥当性が分からない
- 不具合があった場合の対応が不安
- すべての情報が信頼に値しない
こうしてみると、オリジナル塗料で外壁塗装をすることがいかにリスクを伴うことなのか?がお分かりいただけると思います。
もちろんすべてのオリジナル塗料がダメだとはいいませんが、そこまでしてオリジナル塗料を塗るメリットが見当たらないわけです。
オリジナル塗料のメリット
最後に、一応オリジナル塗料のメリットもお話ししておきます。
…と思いましたが、残念ながらオリジナル塗料を使うメリットはありません。
市場にはもっと実績のある、より高性能な安心できる塗料がたくさん出回っています。
業者サイドにメリットはたくさんあれど、お客さんサイドに何一つメリットがないのがオリジナル塗料です。
まとめ:オリジナル塗料はあり?なし?
ということで今回は、オリジナル塗料の実態やその性能や仕組みについての解説でした。
こういった情報は素人の方ではなかなか知り得ない情報でしょうし、いまオリジナル塗料にするべきかどうかで悩んでいる方にとってはとても助かる内容になるのではないか?と思い書いています。
繰り返しますが、外壁塗装で使われるオリジナル塗料だけはやめておきましょう。
オリジナル塗料にメリットはありません。