外壁塗装は、どんな塗料を選んだかでほぼ8割方決まってしまうと言われるぐらい重要な要素になります。
どんなに腕の良い塗装職人が、どれだけ丁寧な仕事をしたとしても、選んだ塗料のスペック以上の仕上がりにはならないわけですね。ですから、塗料選びは外壁塗装において最重要事項なのです。
といっても、塗料にはいろんな種類があり、いったいどれを選べば良いか分かりませんよね?
見積もりをとっても塗装業者によって勧めてくる塗料はバラバラですし、かといってそれらの性能や特徴をいちいち自分で調べて比較することもなかなか難しい。
ということで今回は、そんな悩める外壁塗装初心者のあなたに向けて「外壁塗装の塗料の選び方」を分かりやすく解説していきます。
本記事では、塗料の基本情報からいろんな特徴をもった塗料の種類、そしてどのように選べば良いかという塗料の選び方、さらに塗料を選ぶ際の注意点などをお届けします。
塗料の5つの効果・役割
塗料は古く汚れたお住まいをきれいにお色直しするだけではありません。塗料にはさまざまな効果や役割があります。
□塗料の5つの効果・役割
1. 建材の保護
2. 耐久性の向上
3. 美観の維持
4. 装飾効果
5. 特殊機能
塗料の種類・特徴と性能グレード
塗料にはさまざまなグレードがあり、どのグレードの塗料を塗るかによって「何年持つか?」という耐用年数がほぼ決まります。
例えば、塗装屋さんが勧めてきた塗料が「ウレタン塗料」であれば、どんなに丁寧に工事をしてもらっても7〜8年後には塗り替え時期がやってきます。
とはいえ、7〜8年しか持たないからといって「まったく使えない塗料」ということではありません。7年おきに外観をリニューアルしたい美容室や飲食店にとっては最適な塗料となります。
このように、塗料はそれぞれの目的や用途によって使い分け出来るようになっていますので、しっかりと塗料の種類を理解して選んでいきましょう。
塗料のグレードが分からない場合は『この塗料(樹脂)はなんですか?』と見積もりしてくれた塗装業者さんに尋ねてみましょう。
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アクリル樹脂塗料(耐用年数 約3~5年)
耐用年数 | 約3~5年 |
価 格 | 800~1,500円/㎡ |
ベース | アクリル樹脂 |
メリット 塗料価格が安い
デメリット 一般住宅には費用対効果が悪い
ウレタン樹脂塗料(耐用年数 約5~8年)
耐用年数 | 約5~8年 |
価 格 | 1,500~3,500円/㎡ |
ベース | ウレタン樹脂 |
メリット どんな素材にも対応出来る万能性
デメリット コスパはシリコンの方が上
シリコン樹脂塗料(耐用年数 約8~13年)
耐用年数 | 約8~13年 |
価 格 | 2,500~3,800円/㎡ |
ベース | シリコン樹脂 |
メリット 建築用塗料としての実績◎
デメリット 同じシリコンでも性能に幅があり、ハズレもある
ラジカル制御塗料(耐用年数 約8~15年)
耐用年数 | 約8~15年 |
価 格 | 2,500~5,000円/㎡ |
ベース | アクリル~フッ素樹脂 |
メリット 近年一番話題となっている最新技術
デメリット 種類が多すぎて判断しづらい
フッ素樹脂塗料(耐用年数 約13~18年)
耐用年数 | 約13~18年 |
価 格 | 4,000~6,000円/㎡ |
ベース | フッ素樹脂 |
メリット 性能・実績共に安定感抜群!
デメリット 一回分の塗装代が高くなる
無機塗料(耐用年数 約15~20年)
耐用年数 | 約15~20年 |
価 格 | 4,500~6,000円/㎡ |
ベース | 無機成分 |
メリット 大型建造物などでの実績もあり、その耐候性を実証済み
デメリット 多少オーバースペック感はある
遮熱塗料(耐用年数 約5~15年)
耐用年数 | 約5~15年 |
価 格 | 2,500~5,500円/㎡ |
ベース | ウレタン〜無機 |
メリット 赤外線を反射して熱による素材の劣化を軽減してくれる
デメリット 室内温度はほぼ変わらず
断熱塗料(耐用年数 約8~15年)
耐用年数 | 約8~15年 |
価 格 | 2,500~4,000円/㎡ |
ベース | ウレタン〜シリコン |
メリット 赤外線を遮断して温度を下げる。
デメリット 艶消し仕上げになる。汚れやすい。
意匠性セラミック塗料(耐用年数 約5~15年)
耐用年数 | 約5~15年 |
価 格 | 2,500〜22,000円/㎡ |
ベース | アクリル〜無機 |
メリット 通常の塗装では表現できない豪華なデザインに仕上げられる
デメリット 素人では塗料の性能の良し悪しが見分けにくく騙されやすい
塗料の性質やタイプについて
塗料には種類だけではなく、性質やタイプの違いもあります。これはそこまで重要な要素ではないので、こんな違いもあるんだなと覚えておく程度で大丈夫です。
水性と油性
塗料には水性と油性があります。
塗料は原液のままではドロドロしているため、薄めて使います。その際、水道水で薄めるタイプが水性塗料で、シンナーで薄めるタイプが油性塗料です。
塗料の性能的には油性タイプの方が優れていますが、多少においがしますので、においに敏感な方は水性系を選びましょう。
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1液型と2液型
塗料には1液型と2液型の2タイプあります。
1液型と2液型の違いは、塗料を半強制的に固める硬化剤を入れるタイプかどうかです。1液型塗料の方が使い勝手は良いですが、塗料の性能面では2液型の方が優れています。
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艶あり・艶消し
塗料は表面がピカピカに仕上がりますが、特殊な添加剤を塗料に混ぜ合わせることでツヤを調整することができるタイプもあります。(7分艶・5分艶・3分艶・艶消し)
ツヤがあった方が塗装した感は味わえますが、外壁を濃い色で塗り替えるお考えならマットな仕上がりも良いです。
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外壁塗装の塗料の選び方のポイントと注意点
すべてを兼ね添えた塗料はない
塗料には、すべての性能を兼ね添えた最強の塗料は存在しません。
これはあまり知られていませんが、塗料の容量を100とした場合、80を長く持つために使うと残りは20しかなくなるわけです。つまり、何かに特化した塗料というのは、逆にそれ以外の面で他塗料より劣っているということになります。
ですから、ちまたで人気の塗料や塗装業者の提案する塗料に流されずに、塗料に何を求めるか?何を重視するか?を考え、あなたに最適な塗料を選ぶと良いでしょう。
良い塗料はなんですか?という質問に対する回答が塗装屋さんによってバラバラなのはそのためです♪
ランニングコストも考える
塗料を選ぶ上でもっとも重要視されているのがランニングコスト、つまりコストパフォーマンスです。
長く持つ塗料は一缶あたりの価格も高くなりますが、一年単位で考えると年次コストは下がります。
下の図を見ていただくと分かりやすいと思いますが、塗料代の占める割合は工事費全体の15〜30%ほどしかありません。
外壁塗装の工事費の大半は足場代や人件費などですから、いかに塗装回数を減らすかがコスパに関係してきます。安い塗料を選び一回分の塗装代を下げるより、長く持つ塗料を選んで塗装周期(サイクル)を伸ばした方が長期的に見るとよっぽどコスパが良いわけです。
次回の塗装時期の経済状況も考えておく
塗料が何年もつかという耐用年数は、言い換えれば次回いつ塗装しなければいけないかという塗装時期でもあります。つまり、どんな塗料を選んだかで次の塗装時期がある程度決まってくるわけです。
ですから、今置かれている経済状況だけではなく、次回の塗装時期の状況などもしっかり想定したうえで何年もつ塗料が良いだろうかと計画的に選んでいくと良いでしょう。
シリコン塗料なら10年後、フッ素塗料なら15年後。子供さんの学費や結婚、退職や老後の蓄えはどうなっているか、などですね♪
どこの塗料メーカーの塗料かも重要
塗料を選ぶ上で、どの塗料メーカーの製品を選ぶかもとても重要なポイントです。
国内には大小合わせて300社以上もの塗料メーカーがあると言われています。もちろんマイナーな塗料メーカーにも素晴らしい塗料はあると思いますが、やはり信頼性という観点から考えれば実績に勝るものはありません。
日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研の3社は日本三大塗料メーカーといわれており、信頼性は抜群。多少値段が高くても、大手メーカーの塗料を選んだほうが安心です♪
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オリジナル塗料には注意!
塗料を選ぶ上で気をつけたいのがオリジナル塗料です。
オリジナル塗料とは、塗装業者が他社との差別化をはかるために塗料代理店の協力のもと制作した独自の塗料。というのは建前で、中身は100%大手塗料メーカーが製造した塗料です。
ただ問題はそこではなく、その塗料がどのメーカーのどの商品なのか出どころが不透明で、塗料の性能がまったく分からないため、比較もできないのです。
オリジナル塗料は、見積もりを比較させないための塗装屋さんの戦略なんです。
塗料の色
もしあなたが色にこだわりがあるなら注意です。
例えば、セルフクリーニング効果のある光触媒塗料などは薄めの色しかありませんし、断熱塗料(ガイナ塗装)であれば濃い色にはできませんし、しかもツヤ消し仕上げとなります。
さらに、水性系の塗料も同様に原色に近い濃い色が出せませんので、色にこだわりのある方は塗料を選ぶ前に好みの色が出せるのかどうかも確認しておきましょう。
【初心者向け】目的別に塗料を選ぶ おすすめ塗料
さて、これまでいろんな種類の塗料や、塗料の選び方などを紹介してきましたが、それでも「どの塗料を選べばいいかさっぱり分からない」という方は、用途・目的別に塗料を選んでみるのも良いかもしれません。
※気になる項目をクリックすると移動します。
お住まいを長く持たせたい方向けのおすすめ塗料
・何度も外壁塗装工事するのは面倒くさい
・せめて15~20年周期メンテナンスにしたい
そんな方におすすめなのがこちらの塗料です!
建築用塗料で耐用年数が一番長い塗料が無機塗料です。そして、それに次ぐ耐久性を誇るフッ素塗料は、市場に出回ってからすでに50年以上の歴史を持つ安定性抜群の塗料です。
詳細記事
デザインにこだわりたい方向けのおすすめ塗料
・せっかく塗るならガラッとイメチェンしたい
・ご近所と一緒にはしたくない
そんな方にはこちらの塗料がおすすめです!
- 装飾系セラミック塗料・・・約8~15年
※ベースとなる塗料により耐用年数が変わります。
装飾系セラミック塗料とは、塗装することで外壁の見た目を特殊なデザインに変える特殊な塗料です。通常の塗料の中に細かく砕いた天然石などを配合し、他にはない色合いと風合いを持たせ、豪華な仕上がりにすることが出来ます。
詳細記事
最新技術に興味のある方向けのおすすめ塗料
・せっかくなら今話題の塗料で塗ってみたい
・他にはない新機能を持った塗料を探している
そんな方におすすめなのがこちらの塗料です!
ラジカル塗料は、劣化の原因である「ラジカル成分」の発生を抑制する機能を配合させた最新塗料です。この機能を持った塗料は、本来の塗料グレードより少し長く持つようになります。
遮熱塗料は、その名の通り太陽光の赤外線を反射して、屋根や外壁の熱の伝わりを遮断して温度を下げる塗料です。こちらもラジカル塗料同様に、ベースとなる塗料の中に遮熱機能を配合させている特殊塗料です。
その他にも、熱を伝わりにくくする機能を持った「断熱塗料」や、太陽光によって汚れを分解する「光触媒塗料」など、さまざまな機能を持った塗料が販売されています。
詳細記事
価格重視で考えている方向けのおすすめ塗料
・なるだけ安く外壁塗装をしたい
・あまり塗装工事に費用をかけたくない
そんな方にはこちらの塗料がおすすめです!
- シリコン塗料(水性)・・・約8~13年
価格だけで考えるならばアクリル塗料ですが、いかんせんコスパが悪すぎます。耐用年数5~8年のウレタン塗料という選択肢もありますが、最近ではウレタン塗料より価格が安く、かつ性能の良い水性系シリコン塗料がありますので、そちらがおすすめです。
詳細記事
外壁塗装でよく使用されている人気塗料
・みんなが使っている塗料が一番安心できる
・主流になっている人気塗料が無難
そんな方にはこちらの塗料がおすすめです!
- ラジカル制御塗料・・・約8~15年
- シリコン塗料・・・約8~13年
最近人気の塗料はシリコン塗料とラジカル塗料。ラジカル塗料は、2012年に日本ペイントが「パーフェクトシリーズ」を販売開始したのを皮切りに、各塗料メーカー一斉に販売開始。シリコンと同等かそれ以上の耐用年数でシリコンより安いとの触れ込みで一気に人気となっています。
詳細記事
外壁塗装の塗料の種類と選び方のまとめ
さて今回は、外壁塗装の塗料の種類や選び方について詳しく解説してきました。
冒頭でもお伝えしたように、外壁塗装工事において塗料は工事の品質を決めてしまうほど最重要ポイントです。しかし実情は、塗装業者が勧めてくるままの塗料で工事することがほとんど。
他の情報や知識は二の次でいいので、せめてご自宅に使用する塗料の知識と塗料の選定だけは自分自身で決めた方が良いと思います。
そのうえで、塗料を揃えて相見積もりを取るんです。そうすることで、外壁塗装初心者でも価格や内容の比較検討が楽になります。
塗料に関する情報は以下にありますので、気になる記事があればぜひ読んでみてください。
■シリコン塗料
- シリコン塗料とは?特徴やデメリット、耐用年数やコスパを解説
- 同じシリコン塗料なのに、なぜ見積もり金額が違う?
- 業界歴20年の私が本気でおすすめするシリコン塗料9選!
- シリコン塗料とウレタン塗料はどちらが良い?
■ラジカル塗料
■フッ素塗料
■無機塗料
■特殊な塗料
- 遮熱塗料って実際効果あるの?エアコン代が安くなるってホント?
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- 外壁のクリア塗装はどんな人に向いている?デメリットやよくある質問Q&A
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- プロが選ぶ!おすすめセラミック塗料ランキング6選&有名塗料メーカー紹介
- ジョリパッドとはどんなもの?
- ジョリパットの塗り替え時期はいつ? おすすめ塗料とメンテナンス方法
■その他の塗料に関する情報
- 外壁塗装で役立つ塗料の基礎知識まとめ
- 外壁塗装に使う塗料は水性と油性、どちらが良い?
- 1液と2液の違いってなに?結局どっちの塗料を選べば良いの?
- 外壁が汚れにくい超低汚染型塗料 おすすめベスト5!汚れの原因と対策
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