現在使われている塗料の中で、最上級グレードとの呼び名高い「無機塗料」
外壁塗装をお考えの方であれば、一度はその名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
- 無機塗料ってどんな塗装なの?
- 本当に20年以上持つの?
- いくらぐらいするんだろうか…?
今回はそんな最高級塗料の「無機塗料」について、塗料の特性や耐久性、価格相場、それにメリットやデメリットなどをまとめてみましたので、ぜひ塗料選びの参考にしてみて下さい。
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無機塗料とは
無機塗料とは、塗料の中に無機物を配合した塗料のことです。
(※無機物とは、ガラス・金属・鉱石などを微粉末にした超微粒子のこと)
無機物の特徴は「劣化しにくい」点です。
その特性を活かし、塗料に配合して耐久性を伸ばそうと試みたのが無機塗料です。
とはいえ、無機物だけで塗料を作ると硬くて塗料としての機能を果たさないので、正確に言えばベースとなる有機物(塗料)の中に無機物を混ぜ合わせた「ハイブリット塗料」となります。
例えば毎日使ってる「お茶碗」も無機物です。毎日使っても汚れないですよね♪
ちなみに、無機質は目に見えないレベルの超微粒子なので、見た目は普通の塗装と変わりません。
無機塗料の歴史と施工実績
日本で初めての無機塗料(建築用)は、2002年に興和化学工業株式会社(現・株式会社ダイフレックス)から販売された「ダイヤスーパーセラン」。
その後、日本ペイントなどの大手塗料メーカーも続々と開発にのり出し、現在では多くのメーカーが製造・販売しています。
まだ市場に出回って20年そこそこの歴史しかない無機塗料ですが、すでに公共事業や有名建造物などでも多く使用されています。
◆無機塗料で塗装された大型建造物
- ZOZOマリンスタジアム
(株式会社ダイフレックス) - 函館五稜郭タワー
(株式会社ダイフレックス) - テレビ愛知電波塔
(株式会社ダイフレックス) - 損保ジャパン本社ビル
(日本ペイント株式会社) - 四天王寺
(日本ペイント株式会社) - 文京シビックセンター
(日本ペイント株式会社)
無機塗料の費用相場(設計単価)
無機塗料の設計単価は、4,500〜6,000円/㎡が目安です。
■塗料別 設計価格表(目安)
塗料の種類(樹脂) | 相場単価/㎡数(目安) |
アクリル樹脂塗料 | 1,000~2,000円/㎡ |
ウレタン樹脂塗料 | 1,800~3,000円/㎡ |
シリコン樹脂塗料 | 2,000~3,800円/㎡ |
フッ素樹脂塗料 | 4,000~5,000円/㎡ |
無機塗料 | 4,500~6,000円/㎡ |
では今度は、上記平米単価を使い無機塗料の外壁塗装費用を概算で出してみます。
■外壁150㎡のお住まいの無機塗料での概算費用
- 足場代:17万
- 洗浄代:3万
- 養生代:4万
- 塗装代:90万(150㎡×6,000円)
- 付帯塗装:15万
- 修理費:15万(コーキング等)
- 合 計:144万
- 税 込:158.4万円
※足場代や付帯部に補修費は、お住まいの形状や地域などにより変わります。
トータル費用をシリコンやフッ素などと比較するとこんな感じです。
■塗料別 トータルコストの比較表(外壁150㎡の場合)
塗料の種類 | 見積もり金額 | 差 額 |
ウレタン | 108.9万 | △49.5万 |
シリコン | 122.1万 | △36.3万 |
フッ素 | 141.9万 | △16.5万 |
無 機 | 158.4万 | – |
※価格は税込で比較。見積もり金額はあくまでも一例。
無機塗料の特徴・メリット
無機塗料の最大の特徴は、一度塗れば20年以上持つといわれる耐久性の高さです。
◆塗料の樹脂別 期待耐用年数表
そして長期的な観点から考えると、「住宅にかかるメンテナンスコストを下げることが出来る」というのが最大のメリットでしょう。
◆図解:各塗料別の費用対効果表
新築から40年間のメンテナンススケジュールを比較してみると、無機塗料はかなりのコスト削減につながります。
無機塗料のデメリット
無機塗料のデメリットは以下3点。
- 塗料の価格が高い。
- 塗料が開発されてからまだ浅い。
- 塗料の耐久性はあるが、コーキング(シーリング材)がそこまで持たない。
無機塗料は工事費用が高くなる
無機塗料は価格が高い!
当たり前といえば当たり前ですが、これだけ長持ちする無機塗料ですから価格は高くなります。
塗料一缶当たりで比較すると、ウレタンやシリコンといった一般的な塗料が15,000〜35,000円/缶に対し、無機塗料はゆうに10万円/缶を越えてきます。
無機塗料は長期的に考えれば「コスパは良い」となりますが、塗装一回分の負担額はかなり大きくなります。
無機塗料は塗料の歴史が浅い
無機塗料の2つ目のデメリットは、その歴史の浅さです。
新商品といわれると、なにかと魅力的に見えますが、こと塗料においては歴史(実績)にまさる信頼性はないと私は考えています。
これまで革命的な塗料といわれるものがいくつも販売されてきましたが、その中には不具合が出ては都度改良を重ね、年月をかけてようやく安定していった、というケースも少なくありません。
例えば、2012年に日本ペイントから販売された無機塗料「アプラウドシェラスターNEO」は、2019年に改良版「アプラウドシェラスターⅡ」に変わり、旧バージョンはその後販売終了となっています。
2012年発売当時、”20年持つ”と信じて塗装したお客さんはどう思うでしょうか?
もちろんこれは日本ペイントに限った話ではありませんが、20年以上持つというならば、せめてその塗料が販売されてから同じ年数経ってから検討する、というのも失敗しないための一つの方法かもしれません。
外壁は20年でも、コーキング(シーリング材)がそこまで持たない
外壁は20年大丈夫でも、コーキングがそこまで持たない!
じつはこれが無機塗料を使用する上での最大のデメリットともいえるのかもしれません。
外壁が「ALCパネル」や「サイディングボード」の場合、外壁と外壁の間にゴムのような素材で出来たコーキング(シーリング材)が施されていますが、そのコーキングの寿命は長くても15年が限界です。
となると、たとえ外壁は20年持ったとしても、先にコーキングの補修工事が発生してくるわけです。
そして、コーキング補修工事には足場が必須ですから、二重に足場代(15〜25万)がかかるということになります。
「塗装工事の周期を伸ばしてランニングコストを抑える」というのが最大のウリである無機塗料ですが、サイディングやALCの外壁の家にとっては、決してコスパが良いと言えないケースも出てくると思うわけです。
外壁にコーキングを使っていない「モルタル壁」などには最適です♪
まとめ:無機塗料の価格相場と3つのデメリットを知らないと失敗する!
以上今回は、無機塗料について私が日頃現場で感じていることをそのままお伝えしてきました。
確かに無機塗料は、その性能や耐久性において最高級グレードであることは間違いないでしょう。
ただ、その分高額工事にもなりますので、本記事で紹介したデメリットなども参考にして、ぜひ後悔のない満足いく外壁塗装工事に繋げて頂ければと思います。
あと、無機塗料の費用相場については本記事でも軽く触れましたが、地域や業者によって相場価格はかなり変動してきますので、実際に比較検討する場合は、直接塗装業者に見積依頼することを強くおすすめします。
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