今回は外壁塗装の相場について解説していきます。
- 外壁塗装の相場ってどのくらいなんだろう?
- 予算が分からなければ出来るかどうかも分からないし。
- 騙されないためにも、高いか安いかの判断基準は持っていたい。
そう思って外壁塗装の相場を調べている方も多いと思いますが、最初にお話ししておくと、外壁塗装に相場は存在しません。

なにそれ?
なんで相場がないの?

外壁塗装は、家の条件や工事の内容によって費用が変動します。
ようするに、あなたの家だけにカスタマイズされたオリジナル工事なんです。

でも「何坪なら○○万ぐらい」っていう坪単価相場表もあるよね?

坪数の相場表はデタラメです。
現在「坪数から費用(相場)を積算」することは業界タブーです。
本記事では、外壁塗装をする際の費用の目安になる「実際に工事したお住まいの外壁塗装の費用」を数パターン紹介します。
そして、いざあなたのお住まいを工事する際には、どのようにして外壁塗装の費用が決まっていくのか?という「価格の仕組み」も紹介していきます。
ぜひ最後まで読んで、外壁塗装工事に役立ててください。
実際に工事した外壁塗装の費用実例集を紹介
まず最初に、これまで私が実際に工事した現場の中から、価格・坪数・築年数といった情報も含めていくつかピックアップしましたので、だいたいの費用の目安としてお使いください。
■外壁塗装の工事費 実例9現場
築年数 | 階 数 | 坪 数 | メーカー | 施工場所 | 金 額 |
13年 | 総2階 | 42坪 | 大和ハウス | 屋根・外壁 | 131万 |
16年 | 2階建 | 43坪 | セキスイハイム | 屋根・外壁 | 155万 |
32年 | 2階建 | 50坪 | 工務店 | 外壁 | 96万 |
16年 | 平屋 | 32坪 | 工務店 | 屋根・外壁 | 110万 |
8年 | 平屋 | 33坪 | 工務店 | 屋根・外壁 | 81万 |
18年 | 2階建 | 54坪 | ヘーベルハウス | 屋根・外壁 | 283万 |
21年 | 2階建 | 48坪 | 一条工務店 | 屋根・外壁 | 166万 |
43年 | 2階建 | 36坪 | 工務店 | 外壁 | 124万 |
12年 | 3階建 | 120坪 | 工務店 | 外壁 | 387万 |
(※上記データは弊社で請け負った工事集計によるもの)
外壁塗装の予算目安としては、屋根外壁を塗装して最低でも100万〜の費用が必要となります。
ただ、ここで注目して欲しいのは、同じぐらいの大きさの家なのに費用にかなりの幅があるという点です。
✔︎たとえばこちら【比較①】
築年数 | 階 数 | 坪 数 | メーカー | 施工場所 | 金 額 |
13年 | 総2階 | 42坪 | ダイワ | 屋根・外壁 | 131万 |
16年 | 2階建 | 43坪 | ハイム | 屋根・外壁 | 155万 |
どちらも大手ハウスメーカーで坪数も変わらないのに、セキスイハイムの家が20万ほど費用が高くなっています。
✔︎さらにはこちらも【比較②】
築年数 | 階 数 | 坪 数 | メーカー | 施工場所 | 金 額 |
16年 | 平屋 | 32坪 | 工務店 | 屋根・外壁 | 110万 |
8年 | 平屋 | 33坪 | 工務店 | 屋根・外壁 | 81万 |
どちらも地元工務店が建てた平屋の家で同じ坪数なのに、金額が30万も違います。

家の大きさは変わらないのに何が違うの?

使っている塗料のグレードや、塗装する面積が違うためです。外壁塗装の価格は「家の大きさ」以外にも、いろんな要素が関係しているんです。

なるほど、だから坪数で相場は測れないってことか…。

そうなんです。
しかも、よく考えると坪数は床の面積で、実際に塗装するのは外壁や屋根ですから、そもそも全く関係ないんですよね(笑)

いわれてみれば確かに…。
じゃあ外壁塗装費には他にどんな要素が関係してくるの?
なぜ相場に幅がある?外壁塗装の費用が決まる4大要素
さて、ここからが今回の本題です。
■外壁塗装の費用は、下記4項目によって決定されます。
- 使用する塗料で費用は変わる
- 依頼する工事業者で費用は変わる
- 家の形状によって費用は変わる
- 工事の内容によって費用は変わる
※この項目は本当に重要なので、理解できるまで繰り返し読んでみてください。
ここを理解することで、
- あなたの家の相場が見えてきます。
- 適正価格かどうか?を見分けることも出来るようになります。
- 業者に騙される心配もなくなります。
では、一つずつ解説していきます。
①使用する塗料次第で外壁塗装の費用は変わる
外壁塗装で使用する塗料にはいろいろな種類があります。
例えば、5年しか持たないものもあれば20年近く長く持つ塗料もあり、どの塗料を塗るかによってその費用が変わってきます。
■塗料(樹脂)別の期待耐用年数
塗料の種類 | 耐用年数(目安) |
アクリル塗料 | 3~5年 |
ウレタン塗料 | 5~8年 |
シリコン塗料 | 8~13年 |
フッ素塗料 | 13~18年 |
無機塗料 | 15~20年 |
※耐用年数とは、塗料が持つ年数のこと。塗料の品質、家の立地などにより耐用年数は変化します。
更には、最近では塗料に特殊な機能を持たせた塗装などもあります。
例えば、汚れを分解するセルフクリーニング効果のある光触媒塗料や、赤外線を反射して熱を下げてくれる断熱・遮熱効果がある塗料、それに大理石のように豪華に魅せるセラミック塗料など多種多様です。

どういった塗料を選ぶか?によって外壁塗装の費用も大きく変わってくるわけですね。
②依頼する工事業者で外壁塗装の費用は変わる
外壁塗装工事をどこに依頼するか?という工事業者によっても費用は大きく変わってきます。
■外壁塗装業者の種類は次の4パターン。
- ハウスメーカー・工務店
- 外壁塗装専門会社(訪問販売)
- 地域の塗装店
- 家電量販店やホームセンター
ハウスメーカー・工務店に依頼した場合
ハウスメーカーや工務店などは、建てることが専門の会社なので、外壁塗装は下請け・孫請け会社に工事を依頼します。となるとかかってくるのが中間マージンです。
なので、仮に同じ塗料で塗装しても通常より1.3〜1.6倍近く価格が上がります。
あと注意したいのは、ハウスメーカー(工務店)によって勧めてくる塗料もバラバラなので、『ハウスメーカーだから安心』という考えは捨ててしっかり検討しましょう。
※各ハウスメーカーの相場や傾向、それに注意点は下記でご確認ください。
外壁塗装専門会社(訪問販売)に依頼した場合
続いて、訪問販売や電話営業などでアプローチをかけてくる外壁塗装専門会社の場合。
こちらはハウスメーカーや工務店と違い、常に新規でお客さんを探さないといけないので、販売管理費(営業経費)がかなりかかります。
扱う塗料に関してもバラバラで、最高級の塗料を扱う会社もあれば、低品質の塗料を最高級と偽ってオリジナル塗料として売る会社もあり、費用も1.0~2.0倍とかなりブレがあるので注意です。
関連記事
≫外壁塗装の訪問販売が高い理由と、利益の仕組みを元営業マンが解説
地元の塗装店に依頼した場合
続いては、地域密着ので仕事をする自社施工できる塗装屋さんの場合。
こちらは自社で職人を抱えているので、4業者の中では一番安く済むでしょう。
ただ、デメリットとしてはハウスメーカーや塗装専門会社と違い、自社内ですべてが完結してしまうため、よほど信頼できる塗装屋さんじゃないと素人では不安な面もあります。
あと、塗装屋さんによっては自分たちが使い慣れた塗料をゴリ押ししてくるケースもあるので、外壁の色や美観にこだわる方は、融通がきくかどうか前もって確認しておいた方が良いでしょう。
家電量販店やホームセンターに依頼した場合
最後に、家電量販店やホームセンター。
こちらは論外です。
工事は下請け施工で「中間マージン」がかかる上に、そもそも業種が専門外。とりあえずの寄せ集め職人で「外壁塗装始めました~」程度なので、仮にいくら安かろうとも個人的にはおすすめしません。
そもそも住宅塗装業の歴史も浅く、ちゃんとした管理者がいるのかどうかも疑問です。
③家の形状によって外壁塗装の費用は変わる
さて、ここからは外壁塗装の費用を決定する3つ目の要素です。
外壁塗装の費用は、家の大きさや、建物の形状(造り)によってもかなり変わります。
例えば、家が大きければ大きいほど屋根や外壁の面積は広くなるので、当然費用も上がりますよね。
それと、1階に屋根がある2階建の家と、2階まで外壁が垂直に立っている総2階の家であれば、総2階の方が外壁面積は広くなります。
あと屋根面積。
同じ40坪でも、総2階より平屋の方が屋根面積は広くなるので、屋根の塗装費用が上がります。
*平屋は1階の床面積が40坪。総2階のお住まいは1階20坪+2階20坪で計40坪。
このように、家の大きさや形状(カタチ)によって塗装する面積がガラリと変わります。
※他にもいろんな条件で費用が変化しますので、気になる方は下記でチェックしてみてください。
④工事の内容によって外壁塗装の費用は変わる
最後は、工事の内容によって外壁塗装の費用は変わるという点についてです。
■ポイントは下記3点。
- 何回塗るか?(塗り重ね回数)
- どこまで塗装するか?(屋根・外壁以外の付帯部)
- どんな修理が必要か?(補修箇所)
一つずつ解説していきます。
何回塗るか?(塗り重ね回数)
屋根や外壁は基本3回塗りがベースですが、外壁の柄や模様を消したくない場合などに用いるクリヤー塗装(透明な塗料)などは2回塗りの場合もあります。
その場合、作業が1工程減りますので塗料代や手間代が安く済みます。
逆に、外壁の種類や劣化状況によっては4回塗りが必要な場合もありますので、その場合は作業が1工程増えますので高くなります。
関連記事
≫2回塗りは手抜き?4回塗りだから安心?外壁塗装の適正な塗り重ね回数とは?
どこまで塗装するか(屋根・外壁以外の付帯部)
お住まいには外壁や屋根以外にも、雨戸や戸袋、軒裏天井、破風板、雨樋といった付帯部がたくさんあります。
一般的には足場を組む外壁塗装工事と合わせて塗装してしまうんですが、その付帯部がどれだけあるか?によって費用も変わります。
例えば、純和風のお住まいであれば玄関周りの柱や梁といった木部の塗装が必要ですし、窓が多いお住まいならば、その分雨戸や戸袋の数も多くなり費用が上がるといった感じです。
※付帯部の名称についてはこちらを参照ください。
≫鼻隠し?軒天ってどこ?外壁塗装で知っておくべき「部位・名称」を写真付きで解説
どんな修理が必要か?(補修する箇所)
外壁や屋根は、年月の経過とともに徐々に劣化していきます。そのため、悪くなってしまった箇所は先に補修してから外壁塗装を行います。
例えば、サイディング外壁であれば目地コーキング(シーリング)補修が必要であったり、モルタル壁であればクラック補修(ヒビ割れ)が必要だったりです。
■サイディングの目地コーキング亀裂
■モルタルのクラック(ヒビ割れ)
*モルタルよりサイディングの方が補修代が高くなります。
- 外壁や屋根の痛み具合はどの程度か?
- どういった補修が必要か?
- それらをどの程度まで直すか?
この辺りで費用がかなり変わってきます。
関連記事
≫外壁塗装の「コーキング(シーリング)」とは?その種類や相場単価について
まとめ:外壁塗装の相場はいくら?なんでこんなに費用に幅があるの?

ということで、今回は外壁塗装工事の実際の価格や、どのようにして外壁塗装の費用が決まるのか?について解説してきました。
■外壁塗装の費用が決まる4大要素
- 使用する塗料で費用は変わる
- 依頼する工事業者で費用は変わる
- 家の形状によって費用は変わる
- 工事の内容によって費用は変わる
ここまで読んで頂いて「何坪だからいくら」といった相場表や「お隣より安かった高かった」といったご近所談話が意味ないことだと感じていただけているならバッチリです。
外壁塗装とは、それぞれのお住まい専用にカスタマイズされた商品なんです。
カスタマイズの仕方は、工事業者やあなたの考え次第で何通りにもなりますし、それぞれの家がそれぞれの価値観で外壁塗装をおこないますので、比較のしようもないんですね。
今回は、あくまでも外壁塗装費のヒントになる情報でしたが、より具体的な費用を知りたい!と思われる方はぜひ実際に見積もりを取ってみてください。
「見積もり=工事しないといけない」なんてのは古い考えです。
見積もりとは名前の通りあくまでも「見積もり」でしかないので、今後の予算を検討する上でも、あなたの家の費用の判断基準を持つ意味でも利用しない手はありません。
いざ外壁塗装をしようと見積もり取ってみたら「想像をはるかに越える金額だった…」とならない為にも、前もってご自宅の外壁塗装の予算は把握しておきましょう。
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