困ったなぁ…外壁塗装はどこに頼めばよいのか。失敗したくないし騙されたくもないし。誰か良い塗装屋さんを紹介してくれないかなぁ…。
一軒で100万以上の費用がかかる外壁塗装工事。ましてや塗装は何千万もした大切なお住まいにする工事なわけですから、どうしても業者選びには慎重になりますよね。
ということで今回は、「失敗しないための外壁塗装業者の選び方」をテーマに、
- 外壁塗装業者の種類や特徴について
- 良い塗装業者の定義・基準について
- 外壁塗装初心者の方でも簡単に確認できる14のチェックポイント
などをお届けします。後半では塗装業者選びで良くある悩みや疑問についてのQ&Aにもお答えしていますのでぜひ参考にしてください。
外壁塗装業者の種類と傾向
外壁塗装はどの形態の業者に工事を依頼するかで、ある程度の傾向が読めます。例えば、費用面や工事の内容などです。
以下、塗装工事業者のタイプ別に特徴や傾向をまとめてみましたのでぜひ参考にしてください。
業者タイプ | 価格 | 専門性 | 提案力 | 工事品質 | 安心感 |
ハウスメーカー | 高い | △ | △ | △〜◯ | ◯ |
工務店 | 普通 | △ | × | △ | ◯ |
リフォーム会社 | 高い | △ | △ | △〜◯ | △ |
地元塗装店 | 安い | ◯ | △ | △ | △ |
大手塗装会社 | 高い | ×〜◯ | ×〜◯ | ×〜◯ | ×〜△ |
家電量販店 | 普通 | ×〜△ | △ | △ | △ |
ホームセンター | 安い | ×〜△ | × | △ | △ |
ハウスメーカー
ハウスメーカーは、その名の通り家を建てるのが専門の会社。外壁塗装はサブなので工事は外注(下請け)に任せている。一軒で150〜200万を超える見積もりを提示されることも珍しくなく、工事価格は間違いなく高い。それを会社の規模や建設会社だからという安心料だと割り切れるかどうか。工事の質や使用する塗料はハウスメーカーによりピンキリ。
工務店
工務店は、ハウスメーカーの地域密着型バージョン。ハウスメーカー同様に家を建てるのが専門なので、塗装は同じく下請け業者任せ。工事価格は普通だが、勧めてくる塗料はイマイチで工事品質もいたって普通。そもそも塗装は専門外で知識に乏しいため、色選びや最新塗料などの提案力には期待できない。
リフォーム会社
リフォーム会社は、家を建てること以外の工事全般を専門にしている総合会社。塗装工事はそのうちの一つなので、そこまでの専門性はない。もちろんすべての工事で下請け業者を使用しているため、工事価格は高くなる。大手になればなるほど工事費用も高くなる傾向あり。
地元塗装店
地域密着で塗装を専門に行っている会社。塗装職人を抱えて自社で施工する塗装店は工事価格がかなり安くなる。しかし、ハウスメーカーや工務店などの下請け仕事ばかり受けている塗装店の場合、直接お客さんと話すことがなくコミニュケーション下手なケースもあり、そうなるとなかなか意思疎通が図れないことも。デメリットとしては、廃業などに伴う保証・アフター面のリスク。個人・法人(株式・有限)などあるのでしっかりチェックすべき。
大手塗装会社
代表的なところでいうと、オンテックスや新生ホームサービス、シンニッケンなど。訪問販売やテレアポで声かけする営業主体の会社で、工事価格は高い。他社との差別化を図るためにオリジナル塗料を使用することが多く、素人では性能の判別がつきにくいため注意が必要。提案力や専門性も担当者(会社)次第、価格面・工事品質などもマチマチなので、ギャンブル性が高く失敗する可能性も高い。
家電量販店・ホームセンター
主に、ヤマダ電機、エディオン、コメリ、コーナンなど。工事価格は比較的リーズナブルで、パック売りなどを用いて価格に透明性を持たせるなどして工夫している。しかし、あくまでも塗装はサブ事業なので、担当者の知識や専門性に欠けることも多く、塗料や工事品質は下請け次第。個人的には、わざわざ家電量販店やホームセンターに外壁塗装を依頼するメリットはない気がする。
■各塗装業者別のまとめ記事はこちらです。
外壁塗装業者を選ぶ前に
① 良い塗装業者とは何か?選定基準をしっかり持とう!
まず最初に、優良な塗装業者ってどんな業者のことでしょうか?この定義が曖昧だと理想の塗装業者を選ぶことなんて出来ませんよね。
- 塗装職人の腕が良い
- 工事価格が安い
- 上手に工事をしてくれる
とまぁこんな感じでしょうか。でも、残念ですがこのような塗装業者を探すのは意外と難しいんですよ。
なぜなら、職人の腕や技術的なことは実際に工事に入ってみないと分かりませんし、安いかどうかの判断は正直素人では難しいのです。
ですから、良い塗装業者の基準を以下のように捉えてください。
- 良識ある塗装職人さんたちが
- 適正範囲の価格で
- 手抜きをせずちゃんと工事してくれる
つまり、普通レベルの塗装業者です。
私もこの業界で20年以上従事してきましたが、外壁塗装では「やるべきことをやる、当たり前のことを当たり前にする業者」を見つけることの方が難しいのです。
ですから、「いかに優れた塗装業者を探すか」というより「いかに悪いことをしない塗装業者業者を選ぶか」で業者を選定して行くことが、間違いない外壁塗装工事につながる近道なのです。
② 良い業者を探すには多くの業者と会わなければいけない!
続いて知っておいてほしいのは、良い塗装業者と出会うためにはそれなりの数の塗装業者と会わなければいけないという話です。
最近では3社相見積もりを取り、その中から1社を選ぶのが主流になりつつありますが、そもそもそんな確率であなたが良いと思える塗装業者に出会えると思いますか?はっきり申し上げて無理です。
せめて5〜10社は会わないと良い塗装業者には巡り会えない。ただ、一気に5〜10社相見積もりしても頭がパンクしてしまうので、まずは3社と会い、納得できなければまた3社というかたちで増やしていくと良いでしょう。
※相見積もりの取り方はこちらの記事で解説しています。
③ 見積もりの段階で良い塗装業者を選ぶことは不可能!
これも多くの方が勘違いしていることですが、見積もりの段階で良い塗装業者を選ぼうなど無理な話です。はっきり言って時間の無駄です。
まだ会ったことも話したこともない段階で、その業者の良し悪しなど判別しようがないということです。塗装業者選びは、見積もりを依頼してからスタートです。
まずは自宅から1時間半圏内の塗装屋に見積もり依頼しましょう。断りも代行してくれる無料の一括見積もりサービスなどを利用してサクッと見積もりをとりましょう。
④ 工事価格の安さだけで塗装業者を選んだら失敗する!
最後に肝に銘じておいてほしいのが、工事価格(見積もり金額)が安いからという理由だけで業者を選ぶと確実に失敗するという点です。
安いには安いなりの、高いのには高いなりの理由があります。その理由が分からない状態で的確な判断はできないということです。
■高い理由
■安い理由
ちなみに、良い塗装業者はあまり価格を下げません。工事に対する自信と責任があるからです。ですから見積もり価格だけで判断すると確実に失敗するのです。
外壁塗装工事が高くなる家と安くなる家の特徴などはこちらの記事で解説していますので参考にしてください。
外壁塗装業者選びのチェックポイント 14項目
では、外壁塗装業者を選ぶ上での基本チェックポイントを14項目にまとめましたので、こちらを参考にチェックしてみてください。一つでも該当しない項目があるようなら要注意です。
会社をチェック(実績・HP)
□自宅から車で1時間圏内に事務所があるか?
会社の所在地は必ず確認しましょう。自宅から車で1時間以上離れると、工事中のトラブルや工事後のアフターなどの対応が遅くなります。遠くても車で1時間圏内の塗装業者を選びましょう。
□創業して何年目の会社なのか?
何年ぐらい塗装業を営んでいるのかで信頼性をチェックしましょう。個人経営なのか法人経営なのか。創業3年経過していない塗装業者は倒産・廃業リスクがありますのでやめておきましょう。
□年間の施工実績件数はどのくらいか?
一般住宅の年間の実績件数は必ず塗装業者に聞くようにしましょう。最低でも月1(12件/年)の実績がないと厳しいです。ビル・マンションなどを専門で塗装している業者もいますので注意です。ホームページで一般住宅のビフォー・アフターの施工写真なども確認しておきましょう。
見積書の内容をチェック
□足場や水洗い作業の項目は含まれているか?
外壁塗装は足場なしではまともな工事はできません(違法でもある)。そして水洗い(※高圧洗浄)も重要な作業工程です。手抜きをする塗装業者はこういった当たり前のことが大抵できていないことが多いのです。
□塗料の商品名・メーカー名が見積書に明記されているか?
塗料は、唯一工事前にその性能を確認できる商品となります。どこのメーカーのなんていう塗料なのかを確認してどのような特性の塗料なのかを把握しておくようにしましょう。
□一式表記ばかりの簡易見積もりになっていないか?
見積書に具体的な数量が一切書かれておらず、一式表記ばかりの見積もりの塗装業者はやめておきましょう。見積書がいい加減な塗装業者は100%工事もいい加減なのです。
□見積書の平米数・平米単価は適正価格か?
使用する塗料のグレードにより「m2単価」は大きく変わります。見積書に書かれた設計単価が適正価格か確認しましょう。
✅塗料グレード別 設計単価表(目安)
塗料の種類(樹脂) | 相場単価/㎡(目安) |
アクリル樹脂塗料 | 800~1,500円/㎡ |
ウレタン樹脂塗料 | 1,500~3,500円/㎡ |
シリコン樹脂塗料 | 2,500~3,800円/㎡ |
ラジカル塗料 | 2,500~5,000円/㎡ |
フッ素樹脂塗料 | 4,000~6,000円/㎡ |
無機塗料 | 4,500~6,000円/㎡ |
□補修箇所・内容が明確にされているか?
外壁がサイディングやALCパネルならシーリング補修、モルタルならクラックの補修が見積書に明記されているか、具体的な補修内容が書かれているかも確認しておきましょう。
※見積もりに関するより詳しい詳細記事はこちらでまとめています。
- 外壁塗装の相見積もりの取り方。コツが分かれば面白いほど比較が楽になる!
- 外壁塗装の見積書の最重要チェックポイント7項目!
- 外壁塗装の見積書の比較ポイント10項目
- 外壁塗装の見積書の見方をプロが徹底解説!各項目の説明や相場単価も紹介
商談時の対応をチェック
□時間にルーズではないか?
約束していた時間に遅れる業者や、商談をすっぽかすような業者はダメです。こうした当たり前のことができないような塗装業者はその時点で切りましょう。まともな工事など期待できません。
□建坪や目視で見積もりを作成していないか?
塗装業に限らず建設業界全般でいまだにどんぶり勘定での商売がはびこっています。見積もり作成時点で坪数から計算していたり目視で憶測計算しているようなら使用する塗料缶数すら計算できていません。手抜き確定案件です。
□しっかり現場調査をしているか?
ろくに家の状態も見ずに見積もりを作成する塗装業者も数多くいます。これも同様に適当な塗装屋の代表格です。まともな塗装工事をする塗装業者なら、家の状態を見ずに見積もりを作成するなんて怖くてできません。
□一方的な話ばかりしてきていないか?
モデル実績・棟数限定キャンペーンなど、自分達の要望ばかり突きつけてくるのはあなたのことなど何一つ考えていない証拠です。そういった塗装業者のゴールは契約することです。
□ありえない値引きをしてきたりしていないか?
今だけ足場無料、今なら30%引き、今日結論もらえるなら半額にします、といったありえない値引きを持ちかける塗装業者は相手にしないようにしましょう。いくら安くしても利益を残すのが商売人です。それなりの工事しかしてもらえません。
※商談時の業者チェック詳細記事はこちらから
- 騙されてる!?外壁塗装の訪問販売業者が良く使う営業トーク6選と対策方法
- こんな外壁塗装業者は要注意!契約前に必ずチェックすべき6項目
- 外壁塗装の足場代が無料!?こんな飛び込み業者を信じても大丈夫?騙されたりしない?
支払い方法をチェック
□工事代の支払いは工事完了してからになっているか?
着工金や中間金といった工事前や工事中に代金を請求してくるような業者は絶対にやめましょう。資金繰りに困っている会社の可能性が高いです。値引きを条件に要求してくるケースが多いので注意。
アフター&保証面をチェック
□保証書は発行されるか?何年間保証なのか?
必ず保証面の確認はしましょう。工事が終わったら付き合いが切れるような会社はダメです。良い塗装業者というのは綺麗にするのは当たり前であり、工事後がお客様との本当のお付き合いだと考えてい流ものです。
※保証に関する情報はこちら
現役の塗装屋がお答えする業者選びに関するQ&A
- Q建設業許可の資格を持った会社を選んだ方が良いか?
- A
一般住宅向けの塗装工事(500万以下の請負金額)には建設業許可は不要ですので、あってもなくても問題ありません。
ただし、建築業許可をとっている会社は、資本500万以上、5年以上の経営実績などの条件を満たす必要がありますので、安心度の目安にはなります。一方で、免許を持っているということは塗装業だけではないはずなので、下請け業者を使っての工事となり、中間マージンが乗るデメリットもあります。
- Q一級・二級塗装技能士などの資格は必須か?
- A
こちらも建設業許可と同様に、あってもなくても問題ありません。
ネットの情報を鵜呑みにしてはいけません。正直なところ、職人の間では塗装技能士を取得するメリットってほぼ皆無なんです。官公庁やハウスメーカーの下請けで仕事をするならともかく、それ以外で資格を必要としているケースはほぼありません。ですから技能士の資格がないからダメな業者だと決めつけていると、逆に優秀な職人(塗装業者)を逃すことになる可能性もあるので注意です。
- Q飛び込みで訪問してきた塗装業者さんに工事を頼んでも大丈夫か?
- A
飛び込みで訪問してくる塗装業者さんや電話営業(テレアポ)の塗装業者さんは基本的にやめておいた方が無難です。なかには良い塗装業者もいるかもしれませんが、大半が「売ること」をゴールにしている会社ばかりなので、素人には良し悪しの判断が非常に難しい業者のタイプなのです。
- Q下請け工事と直接工事の塗装屋さん、それぞれのメリットデメリットは?
- A
■下請けを使う塗装業者
メリット:現場を管理するため、下請け業者の不正や手抜きを未然に防ぐことができる。
デメリット:中間マージンが乗るために工事費が高くなる。
■直接工事する塗装業者
メリット:工事費が安くなる
デメリット:工事が社内の人間ですべて完結してしまうため、不正を見極めにくい。
- Q塗装屋さんの口コミ評判サイトはあるか?
- A
塗装業者の口コミサイトはありますが、その多くは案件(宣伝目的)で裏でお金が動いています。少なくとも私はフェアな立ち位置で評価する業者口コミサイトを見たことはありません。
- Q工事中の現場を見せてもらう予定だが、どこを見ればよい?
- A
技術的な部分は見ても分からないと思いますので、作業している塗装職人の対応・マナーや仕事に対する姿勢を見ると良いですよ。案内してくれた担当者と塗装職人との会話などからも雰囲気がなんとなくでも分かるはずですよ。
- Q個人経営の塗装屋だけど工事を任せても大丈夫か?
- A
個人経営でも優秀な塗装屋さんはたくさんいますので問題ありません。ただし、【外壁塗装業者のチェックポイント】でもお伝えしているように、創業した年数は長ければ長い方が安心です。あとは、経営上の問題で最新トレンド塗料や高級塗料を扱わない会社もあるので、その辺りは確認しながら選んでいくと良いでしょう。
まとめ:失敗しないための外壁塗装業者の選び方
さて、今回は「失敗しないための外壁塗装業者の選び方」ということで長々解説してきました。
もうお気付きかもしれませんが、今回紹介した14のチェックポイントは、ほとんどが塗装業者の怠慢やいい加減さから起こる項目なんですね。
当たり前のことが当たり前に出来ているか。これこそが失敗しない塗装業者選びのベースになりますので、ぜひ本記事を参考にチェックしてみてください。
その上で、いかに安い塗装業者を見つけられるか、がもうワンステップ上の塗装業者の選び方になります。
こちらは相見積もりを取る際に必ず目を通しておくべき内容です。安く塗装工事するためには見積もりの取り方にコツがあります。
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