ラジカル塗料とシリコン塗料ではどちらがおすすめ?プロが比較方法と性能の違いを解説

ラジカル塗料とシリコン塗料ではどちらがおすすめ?プロが比較の仕方と違いを解説

 

『ラジカル塗料は、シリコン塗料よりも価格が安くて性能も高い!』

…といった説明を塗装業者から受けている方も多いと思いますが、本当にそうなのでしょうか?

 

 

主人
主人

信じていいのかなぁ…?でも別の会社はシリコンを薦めてたしなぁ…

奥さん
奥さん

困ったわね…。こんな時、誰に訊けばいいのかしら…

 

ということで、今回は外壁塗装工事でラジカル塗料とシリコン塗料のどちらを選べば良いかと悩んでいる方のために、比較の仕方やその違いについて、そして最終的にどちらがおすすめなのか?といった情報をお届けします。

 

本記事の内容は、私の過去20年以上にも及ぶ現場経験から得た知見をもとに執筆しています。業界の事情や現場を知っているからこそ書ける内容になりますので、ぜひ一つでも参考になれば幸いです。

 

 

※ラジカル塗料の仕組みやシリコン塗料の基本的な情報については本記事では解説していませんので、下記記事をご参照ください。

 

目次

【重要】ラジカル塗料とシリコン塗料を比較する前に

 

ラジカル塗料とシリコン塗料はよく比較されますが、ラジカル塗料と一言でいってもいろんな種類が存在します。

 

まず、塗料はアクリルウレタンシリコンフッ素の4種類の樹脂がベースとなっていて、それらの樹脂名が塗料のグレードとして呼ばれています。

 

樹脂別の塗料グレード表

外壁塗装で使用される樹脂は上記4種類のみ

 

 

ラジカル塗料は、それら4種類の樹脂に「塗料が劣化しにくい特殊効果」を付与して、より長持ちさせようと進化した塗料になります。

 

つまり、「塗料が劣化しにくい特殊効果」をアクリル塗料に配合すればアクリルベースのラジカル塗料になり、フッ素塗料に配合すればフッ素ベースのラジカル塗料になるということです。

 

ラジカル塗料の構造

ラジカル制御成分を配合することでベースアップする

 

 

ですから、あなたが比較しようとしているラジカル塗料がどの樹脂をベースに造られているのかを確認しておかないと比較のしようがない、ということなのです。



 

一方で、シリコン塗料にも性能の違いがあります。

 

一般的にシリコン塗料と呼ばれているものは、シリコン樹脂をベースとして造られていることに間違いありませんが、塗料に含まれるシリコン樹脂の濃度(含有量)に違いがあります。

 

例えば、同じシリコン塗料でも5%しか入っていないものもあれば、50%シリコン樹脂が含まれたシリコン塗料もあるわけです。

 

同じシリコンとも性能に差がある

ほとんどの方がこのような事実を知らずに選んでいる

 

 

この場合、当然ながら含有率50%のシリコンの方が塗料としての性能が高くなるわけです。

 

ですから、「ラジカル塗料」や「シリコン塗料」を一括りとして考えるのではなく、しっかり塗料別(商品別)の性能もみながら比較しないと失敗してしまいます。

 

 

参考記事 塗料の選び方についてはこちらで解説しています。

 

 

ラジカル塗料とシリコン塗料の性能比較(相対評価)

 

では、これまで説明してきたことを踏まえた上で、実際にラジカル塗料とシリコン塗料を比較していきましょう。

 

以下では、よく使われるシリコン塗料やラジカル塗料の商品名を挙げて、それぞれの塗料の性能グレードがどこの位置付けになるのか?が一目で分かる図式(相対評価)で解説していきます。

※以下評価基準は、過去20年以上にわたる現場経験と、各方面の業界関係者から得た貴重な情報をもとに個人でまとめたものとなります。

 

 

アクリルベースのラジカル塗料「パーフェクトシリーズ」

 

ラジカル塗料にはアクリル樹脂をベースに造られたものもあり、その代表格といえるのが日本ペイントの「パーフェクトシリーズ」。

 

ラジカル塗料を薦められた方の大半は、おそらくこのパーフェクトシリーズではないでしょうか。そのぐらい人気の高いラジカル塗料です。

 

日ペ パーフェクトトップのカタログ

引用元:日本ペイント

 

 

「パーフェクトトップ」の主成分は、建築用塗料の中で最もランクが低いアクリル樹脂(※メーカー確認済み)ですが、塗料を劣化させる原因である「ラジカル因子」の発生を抑える特殊効果を付与し、かつベースとなるアクリル樹脂の純度を極限まで高めたことで、シリコンを超える性能を発揮するとのことです。

 

では、この人気のラジカル塗料「パーフェクトシリーズ」は、他のシリコン塗料と比較してどのあたりの位置付けになるのか?さっそく確認していきましょう。

 

 

パーフェクトシリーズと一般的なシリコン塗料の相対評価

パーフェクトシリーズと有名シリコン塗料のグレード比較早見表
※上の比較図はあくまでも個人的な見解によるものです。
※ファインパーフェクトシリーズは油性、パーフェクトシリーズは水性です。

 

まず、油性のラジカル塗料「ファインパーフェクトシリーズ」は、大手メーカーの代表的な油性シリコン塗料よりは劣りますが、水性系の人気シリコン塗料よりは断然性能は上だと感じます。

 

一方、水性のラジカル塗料「パーフェクトシリーズ」は、日本ペイントの耐候型1種「オーデフレッシュSI100Ⅲ」と同等か、それより少し劣るぐらいの性能かと感じます。

 

あくまでも個人的な評価でランク付けしていますが、正直塗った感やその後の経過などをみてもこの辺りが妥当かなと感じています。

 

 

シリコンベースのラジカル塗料「アレスダイナミックTOP」「エスケープレミアムシリコン」

 

続いては、人気のシリコン樹脂ベースのラジカル塗料。今回はこの2商品を先程と同じように比較していきます。

 

 

(1)関西ペイント「アレスダイナミックTOPマイルド

下のグラフを見る限り、シリコン塗料以上の性能だとの試験結果が出ています。まぁシリコンベースで造られたラジカル塗料なので当たり前といえば当たり前なんですが(笑)

ちなみに、水性が「アレスダイナミックTOP」で油性が「アレスダイナミックTOPマイルド」です。

 

関西ペイント アレスダイナミックTOPの耐候性グラフ

シリコンベースの油性ラジカル塗料の耐候性試験

引用元:関西ペイント

 

 

(2)エスケー化研「エスケープレミアムシリコン

 

こちらは水性のシリコンベースのラジカル塗料。こちらもシリコングレードよりも性能が上となっていますね。

 

エスケープレミアムシリコンの耐用性試験結果

エスケープレミアムシリコンは水性塗料のみ

引用:エスケー化研

 

 

シリコンベースのラジカル塗料と一般的なシリコン塗料の相対評価

シリコンベースのラジカル塗料と一般的なシリコン塗料のグレード比較表
※アレスダイナミックTOPが水性、アレスダイナミックTOPマイルドが油性タイプです。

 

「アレスダイナミックシリーズ」「エスケープレミアムシリコン」と、その他のシリコン塗料を性能別に位置付けした相対表です。

 

 

ちなみに、最上位に位置付けしてある日本ペイントの「ファインシリコンフレッシュ」は、全シリコン塗料の中でも最高級ランク。関西ペイントの油性ラジカル塗料「アレスダイナミックTOPマイルド」は、それと同ランクの優れた塗料だと感じます。

 

 

水性系の「エスケープレミアムシリコン」と「アレスダイナミックTOP」は、シリコン塗料で定番の「クリーンマイルドシリコン(油性)」や「コスモマイルドシリコンⅡ(油性)」よりは性能は低いのではないかと感じます。

 

塗料の値段(価格)も、この相対評価通りと考えて比較してみてくださいね♪

 

 

まとめ:ラジカル塗料とシリコン塗料ではどちらがおすすめ?

まとめ:ラジカル塗料とシリコン塗料ではどちらがおすすめ?

 

ということで、今回はラジカル塗料とシリコン塗料の違いや比較の仕方、よく使用されるラジカル塗料とシリコン塗料との相対評価などを図式を用いて紹介してきました。

 

 

少し深掘りしすぎた内容だったかもしれませんが、ラジカルとシリコンどちらの塗料が良いかと本気で悩まれていた方であればかなり具体的で有益な情報だったんじゃないかと思います。

 

 

あと、個人的にはシリコン塗料よりラジカル塗料をおすすめします。

 

ラジカル塗料はやはり高性能というのもありますが、なによりシリコン塗料は種類(商品数)が多すぎて、初心者ではどのシリコン塗料が良いか判断がしづらいんですよね。一番騙されやすい塗料はシリコン塗料ですから。

 

ただ、シリコンの中にも「ファインシリコンフレッシュ」のような優れた塗料もありますので、気になる方は下記記事を参考にして選んでみてください。

 

 

塗料選びのすべてがわかる記事

 

シリコン塗料

 

ラジカル塗料

 

フッ素塗料

 

無機塗料

 

特殊な塗料

 

その他の塗料に関する情報

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この記事を書いた人

年商6億の元塗装会社社長がお届けする外壁塗装の豆知識。業界20年の経験・体験をもとに、他では聞けない役立つ情報から裏情報までお届けしています!
<これまでの経歴>
大手不動産会社勤務、大手塗装会社勤務、2015年塗装会社設立、約20年以上にわたり建築塗装全般に携わり、現在は塗装業のコンサル事業を展開。

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